麻布

麻布 (あざぶ)

麻布は東京都港区の北東部に位置し、さまざまな町丁から構成されています。主な町には東麻布、麻布狸穴町、麻布永坂町、麻布十番、南麻布、元麻布、西麻布、麻布台、六本木があります。麻布という名称が使われるようになったのは江戸時代の元禄期とされています。

この地域は起伏に富んだ台地や谷地から成り立ち、麻布地域全体が商業と住宅が共存する一帯です。特に高台に位置するエリアは地価が高く、高級住宅街として知られています。また、低地に広がる幹線道路沿いには高層マンションが立ち並びます。2006年頃には、麻布十番に居住し働く女性を「十番E女（ジュヴァーナ）」と呼ぶ造語が生まれるなど、時代の流れを反映した文化も見られます。

麻布の地形は古川に沿っており、この川によって様々な起伏が形成されています。かつて麻布地域には鉄道駅が限られていましたが、2000年に南北線と大江戸線が開業したことで交通の便が劇的に改善されました。現在では、麻布と繁華街の六本木は分けられることもありますが、元々このエリアは一つの地域として発展してきました。

歴史

麻布周辺には縄文時代から人が居住しており、弥生時代には農業が行われていました。712年には竹千代稲荷（現在の十番稲荷）が創建され、824年には空海によって麻布山善福寺が開基されました。939年には氷川神社が創建され、江戸時代に入ると農村から寺社の門前町へと発展していきました。

この地域は武家屋敷や馬場が集まるエリアとなり、江戸の人口が増加するにつれて都市化が進んでいきました。特に1729年、芝から馬市が麻布に移転し、十番馬場として栄えました。江戸幕末にアメリカ公使館が設置されたことも、麻布の重要な歴史の一部です。明治時代には古川が埋め立てられ、工業化が進んでいきます。大正時代には麻布十番周辺が発展し、華やかな花街やデパートが立ち並ぶようになりましたが、第二次世界大戦の空襲で大きな被害を受けました。

戦後、麻布十番温泉が開湯され、さらには1960年代に地下鉄日比谷線が開通。これにより、六本木駅の設置とともに麻布地域は新たな発展を迎えました。短期間の商業振興を経て、2000年代に南北線が開通し、麻布十番地区は再び賑わいを取り戻しました。

現在の麻布

今日の麻布は東京を代表する高級住宅街として知られ、多くの富裕層や著名人が居住しています。この地域の特徴として、多くの外国大使館が点在していることも挙げられます。各国の大使館が多く集まるエリアは国際的な雰囲気を醸し出しており、東京都心における重要な地域の一つとしての機能を果たしています。

麻布十番商店街は一つの文化的な中心地であり、様々な商業施設や飲食店が人気を呼び起こしています。地域住民だけでなく、観光客も訪れるスポットとして多くの人々に親しまれています。ゆったりとした時間が流れる麻布の生活環境は、周辺の繁華街とは一味違った魅力を持っています。現在の麻布は歴史的な建物や文化と現代的な生活が共存し、東京の誇るべき地域として今後も注目され続けることでしょう。

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