黄武

黄武（こうぶ）

黄武は、中国三国時代の呉において、初代皇帝である孫権の治世に使用された元号です。222年から229年までの8年間用いられました。呉が魏の元号である黄初を認めず、独自の元号を立てることで、自立の姿勢を明確にした時代でもあります。

元号の背景

呉は、魏の元号である黄初の正統性を認めず、建安を27年まで使用し続けました。黄初と同じ「土徳」の王朝に基づいて、この黄武という元号を制定しました。これは呉が独自の王朝としての地位を確立しようとする意思を示すものでした。

黄武の出来事

黄武元年（222年）には、閏6月に呉にとって重要な戦いである夷陵の戦いで蜀の劉備を破りました。この勝利により、呉は勢力を拡大し、三国鼎立の均衡を保つ上で重要な役割を果たすことになりました。同年10月には、魏の年号を改め、黄武元年としました。この改元は、呉が魏からの独立を宣言する意味合いが強く、独自の路線を歩む決意を示すものでした。

黄武2年（223年）には、それまで用いられていた四分暦を廃止し、乾象暦を採用しました。この暦法の変更により、呉は他の二国（魏と蜀）との間で暦にずれが生じ、統一された暦を使用しないという状況が生まれました。この暦の変更は、呉が独自の文化を築こうとした姿勢を示すものとして重要です。

黄武8年（229年）4月には、元号が黄龍に改元され、黄武の時代は幕を閉じました。

黄武の年表

以下に黄武の各年と西暦、干支の対応を示します。

他の元号との対照表

黄武の期間と、他の元号との対照表を以下に示します。

まとめ

黄武の時代は、呉が独自の道を歩み始めた重要な時期であり、夷陵の戦いでの勝利や暦の変更など、様々な出来事がありました。この時代は、呉が魏からの独立を明確にし、三国鼎立の一角として存在感を示した時代として、歴史的に重要な意味を持っています。

参考文献

『三国志』（中華書局 1974年）
『中国歴代年号考』李崇智（中華書局 2004年）

関連項目

* 元号一覧 (中国)

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