黒壁スクエア

黒壁スクエア：歴史的町並みを活かした観光と中心市街地再生の成功例

滋賀県長浜市の旧市街に位置する黒壁スクエアは、江戸時代から明治時代の建造物を生かした観光スポットとして知られています。黒漆喰の和風建築が特徴的な「黒壁1號館」から「30號館」までの複数の建物からなり、北国街道と美濃谷汲街道の交差点である「札の辻」を中心としたエリアを指します。

黒壁スクエアは、美術館、ギャラリー、ガラス工房、レストラン、カフェなど多様な施設が集積しており、特にガラス芸術の展示エリアとして有名です。年間約200万人の観光客が訪れ、湖北地方を代表する観光地となっています。

中心市街地活性化のモデルケース

かつて長浜市の中心市街地は、郊外の大型店進出による空洞化問題に直面していました。しかし、黒壁スクエアは、この問題に対する有効な解決策として注目されています。古建築の保存と再生を軸としたまちづくりにより、中心市街地の活性化に成功した事例として、高松市の商店街と並んで先進的なモデルケースとして挙げられています。また、旧市街地活性化3法で導入されたTMO（Third-sector Management Organization）の運営モデルとしても注目を集めています。

歴史：衰退からの再生

長浜市は、豊臣秀吉が築城した長浜城の城下町として栄え、商業都市として発展しました。しかし、1970年代後半から国道8号線沿いの郊外開発が進み、中心市街地の衰退が始まりました。1987年の長浜楽市の開業も、中心市街地の歩行者減少に拍車をかけました。

そんな中、1899年竣工の旧第百三十銀行（通称：黒壁銀行）の取り壊し問題をきっかけに、1988年、長浜市と地元民間企業8社による第三セクター「黒壁」が設立されました。この組織は、旧市街地の古建築保存と再生を目指し、博物館都市構想を掲げて活動を開始しました。

旧第百三十銀行は、1989年に黒壁1號館「黒壁ガラス館」として再生オープン。その後、「黒壁」は周辺の古建築を美術館、ガラスショップ、工房、ギャラリー、カフェ、レストランなどに改修し、現在では30館以上の施設が黒壁スクエアを形成しています。1991年の新快速列車の長浜駅延伸も観光客増加に貢献し、エリア全体の再生・活用を促進しました。

黒壁スクエアの事業は、地元産業への影響が少ないガラス工芸を軸として展開。黒壁ガラス館は、2000年から2020年にかけて、滋賀県内の観光地ランキングで常に上位を占めており、ガラス工芸が地域ブランドとして確立していると言えるでしょう。

衰退した商店街と住宅街は、400年の歴史を背景に、湖北地方最大の観光スポットへと生まれ変わりました。この成功事例は、内閣府、経済産業省、国土交通省からも高く評価され、年間4,000件を超える視察が全国から訪れています。

名所・施設

黒壁スクエア内には、黒壁1號館（黒壁ガラス館）から黒壁30號館まで、多様な施設が軒を連ねています。ガラス工芸、オルゴール、郷土料理、カフェ、レストラン、セレクトショップ、古美術など、バラエティ豊かな店舗が観光客を魅了しています。 曳山博物館、北国街道安藤家、四居家住宅なども周辺に見られます。

近隣の名所・施設

黒壁スクエア周辺には、長浜別院 大通寺、ながはま御坊表参道、舎那院、長浜八幡宮、豊国神社、開知学校、成田[[美術館]]（ルネ・ラリック作品）、長浜鉄道スクエア、慶雲館（小川治兵衛作の庭園）、知善院、旧妙覚院汲月亭庭園、長濱浪漫ビールなど、多くの観光スポットが存在します。

交通アクセス

JR北陸本線長浜駅から徒歩約5分とアクセスも良好です。

参考文献

黒壁スクエアの成功事例は、数多くの研究論文で分析されています。衣川恵氏、矢部拓也氏、角谷嘉則氏、佐藤満氏らによる研究論文が、中心市街地活性化における黒壁スクエアの役割について詳細に考察しています。これらの論文は、中心市街地再生における貴重な知見を提供しています。

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