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アラビア[[文字]]のアリフ（ا）

アラビア[[文字]]の最初（第1番目）に位置する文字、アリフ（أَلِفٌ）。ヘブライ[[文字]]のא、ギリシア[[文字]]のα、ラテン[[文字]]のAと起源を同じくし、元々は「雄牛」の形から派生しました。

アリフの役割

アリフは、アラビア語において主に以下の2つの役割を果たします。

1. 声門閉鎖音（ハムザ）: 声門を閉鎖して発する音/ʔ/を表します。アラビア語文法学では、アリフをハムザと同一視する説が有力です。母音を伴うアリフはハムザと同質と見なされます。
2. 長母音: 直前の短母音/a/を長母音化し、/a:/の音を表します。この場合、アリフ自体は音価を持ちません。長母音として働くアリフは、ハムザとは異なるアリフとして扱われます。

ハムザの導入

元々アリフは声門閉鎖音を表す文字でしたが、クルアーンにおいてアリフが存在するのに声門閉鎖音がない場合や、その逆のケースが見られました。そこで、声門閉鎖音を表すために、新たにハムザ（ء）という記号が加えられました。アリフが声門閉鎖音を表す場合は、ハムザをアリフの上（母音がiの場合は下）に付加します。

アリフの字形変化と用法

アリフは語末形のみを持ち、語中形と語末形、単独形と語頭形が同じ形です。ラーム（ل）の後に続く場合は、合字لا（独立形：ﻻ、語中：ﻼ）を作ります。

マッダ記号

母音/a/を伴う声門閉鎖音（ハムザ）に後続して長母音/ʔa:/となる場合、أَاと2字に分ける代わりに、マッダ記号を用いてآと表記します。

タンウィーン

対格を示す語末の母音/a/に非限定を示すn音（タンウィーン）を添加した場合、anという発音とは直接関係のないアリフを書き添えて ـًا もしくはـاًと表記します。これはワクフ（休止形）の時にan部分を/a:/と長母音化して読むことに由来します。

アリフ・マクスーラ（ى）

アリフと同音の文字として、ى（アリフ・マクスーラ）があります。これは「短くされたアリフ」という意味で、長母音の伸びが短いことや、格母音が書かれず表出が妨げられることに由来します。

アリフ・マクスーラは必ず語尾に置かれ、特定の語のa音もしくは長母音ā音を音価とします。正則アラビア語では決められた語にのみ用いられますが、口語（アーンミーヤ）では副詞などで本来アリフ・マクスーラで書くことのないاをىで表記することがあります。

アリフ・マクスーラの注意点

アリフ・マクスーラにはハムザは付きません。ハムザが付いたئは、ハムザの付いたヤー（ي）です。
アリフ・マクスーラの直前の子音の音価は常にaもしくはこれに準ずるもので、付される記号（シャクル）も原則としてファトハ、もしくはそのタンウィーンのみとなります。

アブジャド文字群とイダーファ文字群

アリフ・マクスーラは、主たるアラビア[[文字]]群であるアブジャド文字群には含まれず、点無しのヤーと共にイダーファ文字群に属します。通常のアリフ（ا）とヤー（ي）はアブジャド文字群です。

Unicode

Unicodeにおけるアリフと関連文字の定義は以下の通りです。

アリフ・マクスーラ (U+0649): 語末のみに現れ、点はつかない
ヤー (U+064A): 語頭・語中・語末いずれでも点がつく。ただし、ハムザがついたときは点がつかない
ハムザつきのヤー (U+0626): 点はついていないが、ヤー (U+064A) にハムザがついたもの
点無しヤー (U+06CC): ペルシア語用アラビア[[文字]]として定義され、語末・独立形では点がつかず、語頭・語中では点がつく

アリフは、アラビア[[文字]]の中でも特に重要な文字の一つであり、その発音や用法を理解することは、アラビア語学習の基礎となります。

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