あかし (海洋観測艦)

あかし（JDS Akashi, AGS-5101）

あかしは、海上自衛隊の初回の海洋観測艦であり、同艦の名前は日本の名勝である明石の浦に由来しています。この艦は、海洋環境に関する情報を収集するために設計されており、特に海流や水質、海底地形などのデータを詳細に観測する能力を持っています。日本の海洋観測の歴史を背負いながら、あかしは1980年代まで活躍し、海上自衛隊の情報収集能力を大いに向上させました。

来歴

第二次世界大戦前、日本では大日本帝国海軍水路部が海洋の測量と観測を担当していました。しかし、戦後の日本においては、これらの機能が海上保安庁に移行し、それに伴い海上自衛隊には同様の専門艦が欠如していました。そのため、海自は気象庁から提供された情報に頼り、独自の観測を行うことは難しかったです。しかし、対潜戦の戦術が変化する中で、海洋環境データの収集が重要視され、港や海流、気象の詳細な観測が求められるようになりました。

この状況を受け、1961年から航海中の海水温度を観測するための装備が導入されましたが、観測の範囲や深度が増すにつれ、護衛艦などの通常艦艇での対処が困難となりました。国の政策も背景にあり、1969年にはあかしの建造が計画されることになりました。

この艦は、旧海軍の測量艦「筑紫」に続く専用艦として期待され、多様な観測機器を積む能力が設計されました。

設計

あかしの設計初期段階では、700トンで12ノットの速力を想定していましたが、冬季の北太平洋での運用を考慮し、最終的に1,420トンまでの大きさとなりました。船体は商船構造を基に設計され、青南側の艦尾には4,000メートル深度まで投下できる深海錨泊装置が装備されています。

また、艦体にはアジマススラスターやアンチローリング・タンクが設けられており、これにより安定した観測が可能です。艦尾の作業甲板には、観測機器の出入りを支援するためのクレーンやウインチの設置がなされ、機動性と効率性が強化されています。

propulsionには川崎重工業製のV型6気筒ディーゼルエンジンが搭載され、最大速力は14ノットに設定されています。

艦歴

あかしは1968年に起工され、1969年に進水、同年10月25日に正式に就役し、翌月には新編された海洋業務隊に配属されました。在籍中、1975年には電子戦装置の追加が行われ、1980年には海洋業務群への改編が行われました。

艦の運航期間中には、合計68万海里を航行し、194回の海洋観測任務を遂行しましたが、1999年に除籍され、約3,000日間の任務を終えました。

文化的な影響

あかしは映画『日本沈没』にも登場し、深海探査艇の母艦としてその存在感を示しました。実艦での撮影を通じて、多くの人々にその魅力を伝えました。彼の存在は、海上自衛隊が海洋観測において果たす役割を広く知らしめるきっかけともなりました。

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