いしいひさいち

いしいひさいち（本名：石井壽一）は、1951年生まれの日本の漫画家です。新聞連載や4コマ漫画を中心に活動し、その作風は、既存の「新聞漫画」や「風刺画」といったジャンルにとらわれず、プロ野球、政治、経済、時事問題、推理小説、哲学、時代劇、学生の貧乏生活、庶民の家庭生活など、多岐にわたるテーマを扱います。極端にデフォルメされたキャラクターと、過激な皮肉、ナンセンスな展開、解読困難な表現などが特徴で、独特な世界観を構築しています。

岡山県玉野市出身で、高校時代に漫画研究会に入会したことが漫画家になるきっかけとなりました。関西大学在学中に、アルバイト情報誌で漫画家デビューし、その後、同人誌「チャンネルゼロ」を刊行。1977年には初の単行本『バイトくん』を出版しました。1979年には、プロ野球選手田淵幸一をモデルにした代表作『がんばれ!!タブチくん!!』を刊行し、アニメ映画化もされました。

いしいひさいちの作品は、数々の賞を受賞しており、第31回文藝春秋漫画賞、第7回手塚治虫文化賞短編賞、第32回日本[[漫画家協会賞]]大賞、第54回菊池寛賞を受賞しています。また、『おじゃまんが山田くん』、『ホーホケキョ となりの山田くん』など、多くのアニメ化、実写ドラマ化された作品があります。

人物像としては、極度のマスコミ嫌いで、顔写真を公開することを極端に嫌うため、奇人や偏屈な人物というイメージを持たれがちですが、実際は穏やかな物腰で人と接することのできる、ごく普通の人物です。また、自身の単行本に解説をつけられることを嫌っていましたが、近年刊行されている「ひさいち文庫」には解説がつけられるようになっています。

また、『がんばれ!!タブチくん!!』がヒットしていた頃、「いしい作品のモデルになった者は、皆不幸になる」という噂が広まり、人前に出ないのは、皮肉の対象人物からの報復を恐れているからだという噂もありました。しかし、モデルとなった田淵幸一は、大らかな性格で、『タブチくん!!』の愛読者だったと伝えられています。

音楽の趣味については、ヴィジュアル系ロックバンドcali≠gariが好きであると語っており、作品にもその影響が見られます。また、ファドも好んで聴いているようです。

漫画作品については、安部慎一、鈴木翁二、楠勝平の作品をベスト3にあげており、特に『ガロ』の作家に注目しているようです。また、現役の4コマ漫画家では植田まさし、小坂俊史の作品に注目していると述べています。

作風の特徴としては、幅広いテーマを扱い、実在の人物や社会現象を巧みに風刺し、読者をシニカルに笑わせることが挙げられます。また、実在の人物を描く際には、わかりやすい特徴をとらえて強調し、言葉遣いにも独特のこだわりがあります。4コマ漫画に関しては、既成概念を破壊したという評論がありますが、本人はそれを否定しています。実在の人物をモデルにしたキャラクターは、作品の枠を超えて他の作品にも登場するスターシステムが用いられています。

作品には、意味の分からない・分かりにくいオチの作品も多いですが、作者自身も意味が分からない作品も多いようです。単行本化する際には、作品を厳選し、訂正や加筆を行うこともあります。

代表作としては、『バイトくん』、『がんばれ!!タブチくん!!』、『ののちゃん』などがあります。

その他に、著作活動や、映画ポスターの制作なども手がけています。

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