いすゞ・ガーラミオ

いすゞ ガーラ ミオ：中型観光バスの進化の歴史

ガーラ ミオは、いすゞ自動車が販売する中型観光・自家用バスです。1999年、前身となるジャーニーKの後継車として誕生しました。同時期に発売された路線バスのエルガミオと並び、中型バス市場に新たな選択肢をもたらしました。しかし、いすゞ自動車と日野自動車のバス事業統合を経て、2004年以降は日野・メルファとの統合モデルとして生産・販売されています。

車名の由来

「ガーラ」の名は、大型観光バスであるガーラシリーズから派生しています。華やかで楽しい旅をイメージさせる「お祭り」や「陽気」を意味する言葉に由来します。「ミオ」は、小型であることを示す英語の「mini」やフランス語の「mioche'」を組み合わせた造語で、大型ガーラとのサイズの違いを表現しています。この命名方法は、エルガとエルガミオ、エルフとエルフミオの関係性と共通しています。

初代モデル (LR系) 1999年

初代ガーラ ミオ(LR系)は、平成10年排出ガス規制に適合したモデルとして登場。直列6気筒の6HH1-S型エンジン(225PS)を搭載し、トランスミッションは5速MT、6速MT、5速ATから選択可能でした。

デザインは、大型ガーラと統一されたフロントマスクを採用し、後部には2枚窓(M-II、M-IIIグレードのみ)が特徴的でした。中型観光・自家用バスとしては初めて運転席エアバッグを標準装備するなど、安全性能の向上にも注力。ABSや衝撃吸収ステアリングホイールも標準装備されました。

シャーシは路線型エルガミオをベースに、ホイールベースは3.75mと4.4mの2種類を設定。オプションでニーリング機能も選択できました。ボディタイプは、ベーシックなM-IからデラックスなM-IIIまで3種類が用意され、それぞれ窓の数やトランクの仕様などが異なっていました。CNG車も設定されていました。

2代目モデル (RR系) 2004年以降

2004年、平成16年排出ガス規制に適合した2代目(RR系)が登場。日野自動車製のJ07E-TI型エンジン(225PS)を搭載し、日野・メルファとの統合モデルとなりました。メルファとの違いは、バンパーグリルの色やステアリングホイールのロゴ、フロントガラス下部の塗装など細部のデザインに限定されていました。

デザインはメルファと共通化され、後部2枚窓は廃止されました。運転席エアバッグはオプションにも設定されませんでした。トランスミッションは6速MTと5速ATとなり、サスペンションもフルエアサスからリーフサスとエアサスの併用式に変更されました。製造は、いすゞバス製造と日野車体工業が合併して設立されたジェイ・バス小松事業所に移管されました。

その後、2007年、2011年、2017年と順次排出ガス規制に対応した改良が施され、エンジンやトランスミッション、安全装備などが進化しました。2017年の改良では、日野製のA05C-TH型エンジン(220PS)と6速AMTが採用され、運転席エアバッグが13年ぶりに復活しました。

2021年には、衝突被害軽減ブレーキ、車線逸脱警報装置、車両安定制御システムなどを標準装備し、安全性を大幅に向上させました。しかし、2022年には日野自動車のエンジン不正問題により、出荷が停止されました。

ラインナップ

ガーラ ミオは、様々なニーズに対応するため、特装車ベースなども設定されています。

まとめ

ガーラ ミオは、長年にわたる改良と進化を経て、安全性能と快適性を両立した信頼性の高い中型観光・自家用バスとして、多くのユーザーに支持されてきました。日野・メルファとの統合モデルとして、日本のバス業界において重要な役割を果たしてきたと言えるでしょう。今後の動向にも注目が集まります。

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