日野・メルファ

メルファシリーズ：日野自動車の中型観光バス

日野自動車が販売するメルファは、観光や自家用として幅広く利用される中型バスです。その歴史は、1998年に発売されたメルファ7から始まります。レインボー7M・7Wの後継車種として登場したメルファ7は、CH系とRH系の2つのタイプがラインナップされ、多様なニーズに対応しました。しかし、規制緩和や市場の変化により、2004年には生産終了を迎えました。

メルファ7の後継、そしてレインボーRRの後継車種として、1999年にメルファ9が登場します。8.5mと9mの車体、ミドルデッカーとハイデッカーの床高、そして複数のエンジンやトランスミッションから選択できるなど、高いカスタマイズ性を持つモデルでした。メルファ9は、2004年にメルファにマイナーチェンジする形で、その歴史に幕を閉じます。

2004年、メルファ9をマイナーチェンジしたメルファが登場しました。これは、レインボーHRのマイナーチェンジと同時に行われ、平成15年排出ガス規制に適合したモデルです。メルファ7が生産終了したため、メルファは単一モデルとなります。同時にいすゞ自動車とのバス事業統合が行われ、いすゞではガーラミオとして販売されることとなりました。車体は9mミドルデッカーに統一され、エンジンは直列5気筒ターボのJ07E型エンジンを採用しました。このエンジンは、日産ディーゼル（現UDトラックス）の中型バスにも供給されました。

その後もメルファはマイナーチェンジを繰り返し、環境規制への対応や安全性能の向上を図っています。2007年には平成17年排出ガス規制に適合したBDG-RR系、2011年には平成22年排出ガス規制に適合したSDG-RR系が登場。2017年には平成28年排出ガス規制に適合した2DG-RR系が登場し、6速AMTのPro Shift6を採用。マニュアルトランスミッションは廃止となりました。2021年のマイナーチェンジでは、安全性能が強化され、先進運転支援システムが標準装備されました。

メルファシリーズの中でも特に注目すべきは、2013年に開発されたプラグインハイブリッド車です。175kWの電動機と40kWhのリチウムイオン二次電池を搭載し、市街地や低速走行時は電気自動車として、高速走行時はハイブリッド車として走行できる環境に配慮したモデルです。災害時の移動電源車としての機能も備え、東日本大震災をきっかけとした開発背景を持ちます。2015年には市販され、路線バスとして定期運行される全国初のプラグインハイブリッド車となりました。

メルファシリーズは、長年にわたる改良と進化を通して、時代のニーズと技術革新を反映したモデルとして、日本の観光・自家用バス業界に貢献してきました。その歴史は、日本のバス業界の技術発展を象徴するものです。 マイクロバスから中型バスへと展開し、環境性能や安全性能の向上、そしてプラグインハイブリッド車開発など、常に革新を追求してきたメルファ。その歴史は、日本のバス業界の技術発展を象徴するものです。現在では、いすゞ・ガーラミオとの統合車種として、国内唯一の中型観光・自家用バスとしてその地位を確立しています。今後の更なる進化にも期待が高まります。

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