いすゞ・ジェミニ

いすゞ・ジェミニ (ISUZU Gemini)

いすゞ・ジェミニは、いすゞ自動車が1974年から1993年にかけて製造した小型乗用車であり、特にそのデザインや性能から多くの支持を得ていました。現在ではOEM供給の形で販売も行われ、長きにわたりその存在感を示してきました。

概要

初代モデルは1974年11月に登場し、GMの「グローバルカー構想」に基づいて開発されました。オペル・カデットをベースにしたこのモデルは、当時の若者に人気を博し、様々なボディカラーや個性的な内装オプションが展開されました。また、特に注目すべきは、特異なデザインのアルミホイールや、ジウジアーロによる優れたスタイリングです。自社開発モデルとしては第2世代、第3世代と続く中で、さらなる特性を持った車両がリリースされましたが、業績の悪化とともに販売が低迷し、最終的にホンダからのOEM供給を受ける形で生産が続けられました。

初代（1974年-1987年）

初代の登場時、いすゞでは13年以上にわたりベレットの製造を続けていましたが、市場を意識してモデルチェンジが求められました。新型車の開発にあたり、オペル・カデットを基にしたジェミニが誕生しました。最初の2ドアクーペと4ドアセダンタイプは市場で瞬く間に人気を集め、その後も微細なモデルチェンジを重ねながら長期にわたって生産されました。

特に1979年には、ジェミニ独自のフェイスリフトが施されたモデルが登場し、その瞬間から市場での存在感を一段と高めることとなりました。さらに、1982年に登場したディーゼルエンジン車は、第二次オイルショックにおける燃費重視の時代において広く認知されるようになりました。

2代目（1985年-1990年）

1985年には2代目がFF（前輪駆動）として登場し、コンパクトなクラスを意識した設計で登場しました。このモデルでは特に、マクファーソンストラットサスペンションを採用し、走行性能が大幅に向上しました。ボディデザインも、ジョルジェット・ジウジアーロによるものであり、流線型のスタイルが特徴的でした。特に1986年には、ターボエンジン搭載のスポーツモデルも追加し、多様なニーズに応えました。

3代目（1990年-1993年）

3代目はさらなるサイズ拡大が施され、ガソリンエンジンの動力性能も向上しました。また、ラリーでの活躍が評価され、特に国内ラリー選手権では多くの優勝を果たすこととなった。その一方で、1991年以降は販売不振に苦しみ、生産コストの高騰も影響し、結果としていすゞは乗用車からの撤退を決定しました。

4代目（1993年-1997年）

以降はホンダ・ドマーニのOEMモデルとなり、ラインナップも縮小されました。このモデルは、性能面やスタイリングにおいて特に目立った魅力に欠けるとされながらも、一定の顧客に支持されていました。

モータースポーツと文化的影響

ジェミニはその優れた性能から、全日本ラリー選手権での活躍があり、特に1980年代から1990年代初頭にかけて多くのタイトルを獲得してきました。また、「街の遊撃手」というキャッチコピーが印象的なテレビCMでは、カースタントを駆使した演出が多くの視聴者に強い印象を残しました。このように、いすゞ・ジェミニはそのスタイルや性能、加えてメディアを通じた文化的な影響においても、一時代を築いた存在といえるでしょう。

ジェミニは、いすゞ自動車の歴史の中で重要な役割を果たしており、そのデザインとエンジニアリングは現在も多くの人々に評価されています。

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