いすゞ・D-MAX

D-MAX

いすゞ自動車のグローバル戦略において中核を担うピックアップトラックが「D-MAX（ディーマックス）」です。主にタイにある工場で生産され、世界各国に輸出されています。いすゞがかつて販売していた「ファスター」や「ロデオ」の後継モデルとしての位置づけです。

名前に込められた意味

「D-MAX」という名称には、いくつかの重要な意味が込められています。「D」は、ディーゼルエンジン（Diesel）、直噴システム（Direct Injection）、デザイン（Design）、耐久性（Durability）などを表現しています。「MAX」は、デザイン、サイズ、快適性、技術、性能、安全性、耐久性、ラインアップといった、車両のあらゆる要素を「最大化」「最極化」するという開発思想を示しています。

グローバルでの展開

D-MAXは、ゼネラルモーターズ（GM）との共同開発プロジェクトから生まれました。初代および2代目は、GMのシボレー・コロラドなどと多くの部分を共通とする姉妹車でした。いすゞの販売網がない地域では、シボレーブランドを通じてOEM供給も行われています。

2019年に登場した3代目では、GMとのピックアップトラック事業に関する提携が解消されたため、いすゞ独自のプラットフォームで開発が行われました。その一方で、マツダとの間でOEM供給契約が結ばれ、2020年以降販売されているマツダ・BT-50の3代目モデルはD-MAXをベースとしています。

各世代の進化

初代 (2002年〜)

2002年（平成14年）に、TFシリーズ後継として投入されました。力強いデザインが特徴で、タイ市場ではベストセラーとなり、多くの賞を受賞するなど成功を収めました。直列4気筒の直噴コモンレールディーゼルエンジンを搭載し、複数の仕様が設定されました。2006年（平成18年）にはフェイスリフトが実施されています。このモデルをベースにしたSUV「MU-7」も派生しています。

2代目 (2011年〜)

2011年（平成23年）にモデルチェンジを行い、デザイン、性能、快適性が向上しました。世界各地で順次新型へ移行しました。2015年（平成27年）の改良では、燃費に優れる1.9Lターボディーゼルエンジンが新たに追加されています。この世代からもSUV「MU-X」が誕生しています。

3代目 (2019年〜)

2019年（令和元年）10月に発表された3代目は、8年ぶりのフルモデルチェンジです。いすゞが独自開発した新プラットフォームを採用。内外装は刷新され、先進的な装備が採用されました。エンジンは、新開発の3.0Lターボディーゼルと、改良された1.9Lターボディーゼルを搭載し、出力向上や燃費改善、ボディ剛性の強化が図られています。

この3代目モデルはマツダ・BT-50としてOEM供給されています。さらに、電動化への対応も進められており、マイルドハイブリッドモデル「D-MAX MHEV」や、ヨーロッパ市場向けの電気自動車モデル「D-MAX EV」も発表されています。

生産と関連モデル

D-MAXは主にタイのいすゞ工場で生産されています。姉妹車としては、過去のシボレー・コロラドなどに加え、現在のマツダ・BT-50があります。また、D-MAXをベースとしたSUVモデルとして、MU-7およびMU-Xが存在します。

D-MAXは、いすゞの技術力とグローバルでの販売戦略を体現する重要なモデルです。

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