いすゞ・iシリーズ

いすゞ iシリーズ：アメリカ市場に向けたピックアップトラック

いすゞ自動車は、かつてアメリカ市場においてiシリーズというピックアップトラックを販売していました。i-280（後にi-290に改名）とi-350（後にi-370に改名）の2モデルがラインナップされていました。本稿では、このiシリーズについて詳しく解説します。

開発と販売

2005年、ニューヨーク国際オートショーでiシリーズは発表されました。これは、2000年に生産終了となったいすゞ・オンブレの後継車種として位置づけられていました。しかし、iシリーズはGMの車両をベースとして開発されたOEM供給車種でした。具体的には、シボレー・コロラドとGMC・キャニオンをベースに開発され、生産もこれらの姉妹車と同じく、アメリカ合衆国ルイジアナ州シュリーブポートの工場で行われていました。姉妹車との最大の違いはフロントグリルのデザインのみという、非常に近しい関係にあったと言えるでしょう。興味深いことに、これらのベース車両は、いすゞがタイで製造していたD-MAXやH3とも基本設計を共有していました。そのため、グローバルな視点での部品共有化が進められていたと考えられます。

しかし、いすゞのアメリカにおけるライトトラック事業からの撤退という経営判断により、iシリーズの販売は2009年1月31日をもって終了しました。この決定は、いすゞのアメリカ市場における戦略転換を象徴する出来事でした。

エンジンラインナップ

iシリーズに搭載されていたエンジンはすべてGM製でした。車名に含まれる3桁の数字はエンジンの排気量を表しており、例えばi-280は2.8Lエンジン、i-350は3.5Lエンジンを搭載していました。

2006年までは以下のエンジンが搭載されていました。

i-280：アトラスLK5型 2.8L 直列4気筒エンジン
i-350：アトラスL52型 3.5L 直列5気筒エンジン

2007年以降は、エンジンが改良され、以下のエンジンが搭載されるようになりました。

i-290：アトラスLLV型 2.9L 直列4気筒エンジン
i-370：アトラスLLR型 3.7L 直列5気筒エンジン

排気量の増加とともに、より力強い走りが期待できる仕様となっていったと考えられます。

まとめ

いすゞiシリーズは、いすゞのアメリカ市場における挑戦と撤退の歴史を象徴する車種と言えるでしょう。GMとの提携関係、グローバルな部品共有化といった戦略、そしてアメリカ市場からの撤退という厳しい現実を垣間見ることができる、重要な一台でした。短命に終わったものの、いすゞの歴史において重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

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