うっかり八兵衛

うっかり八兵衛

うっかり八兵衛は、TBS系列で長年放送された時代劇『水戸黄門』に登場する人気キャラクターです。高橋元太郎さんが、第2部(1970年)から第28部(2000年)までの30年間、ほとんど休むことなく演じ続けました。その間、演者が変わることなく、高橋元太郎さんのはまり役として、多くの視聴者に愛されました。

キャラクター設定

うっかり八兵衛は、水戸光圀一行の諸国漫遊に同行するドジな町人です。光圀の密偵である風車の弥七の子分を自称していますが、旅に出ていない時は西山荘で光圀の यूज済み人として働いています。町人であるため名字はなく、口癖の「こいつはうっかりだ」から「うっかり八兵衛」と呼ばれるようになりました。

光圀からは「ハチ」や「八兵衛」、助三郎と格之進からも同様に呼ばれます。お銀と飛猿、お新からは「八っつぁん」と呼ばれることが多いですが、お銀はたまに「八兵衛さん」と呼ぶこともあります。

八兵衛は「花より団子」の食い道楽で、日本全国の名物グルメに詳しいという設定です。彼の名物巡りがきっかけで、光圀一行が事件に巻き込まれるという展開もよく見られます。各話の冒頭では、滞在する土地の名物について講釈を始めたり、土地の民謡を口ずさんだりします。特に団子が好物で、疲れた時には茶屋に立ち寄ることを好みますが、食べ過ぎてお腹を壊すこともよくあります。一行が野宿をする際には、山菜の良し悪しを判別する能力を発揮します。しかし、食べ物以外の名物にはあまり関心を示しません。

陽気な性格から、佐々木助三郎と気が合い、よく一緒に行動しています。光圀や渥美格之進の目を盗んで、芸者遊びに出かけることもあり、その度に怒られています。美男である助三郎とは違い、女性にもてないことを気にしている一面もあります。剣術や格闘技は得意ではありませんが、元盗賊の見習いだったこともあり、素手で素人相手に応戦することもあります。大立ち回りの際には、地元の人々を庇ったり、悪人の前に証人を突き出したりする役割を担うこともあります。

また、孤児であるという設定も存在します。

物語の中では、様々な理由から「越後の縮緬問屋の若旦那」を装うエピソードが、1シリーズに1回くらいの頻度で登場します。しかし、大抵は事件に巻き込まれ、「もう若旦那は懲り懲り」という結末を迎えます。この時、光圀が「若旦那のお目付役の爺や」に扮することもあります。

第2部 - 第8部

初期の頃は、風車の弥七に師事していた盗賊の見習いという設定でした。義賊を辞めて光圀に仕えるようになった弥七を追いかけ回していました。初登場時はスリを生業としており、助三郎と格之進に捕まったことがきっかけで、光圀一行を追いかけるようになります。弥七を「親分」と呼び、弥七からは迷惑がられていましたが、光圀一行に馴染むにつれて、子分として扱われるようになりました。光圀からは、貴重な庶民感覚の持ち主として見なされています。

第2部では、瀕死の重傷を負った助三郎に付き添って一行を離れたり、ほとんど光圀一行につかずに旅をしたりすることもありました。第3部では、光圀一行と共に行動したり、しなかったりという状況でした。第4部以降は、基本的に光圀一行と共に旅をするようになります。第2部では、弥七との行動が多く、時にはぐれることもありました。

役人を始めとする武士の多くを、「町人や百姓をいじめて威張りくさっている」と嫌っており、お家騒動に対しても「侍同士の揉め事で迷惑するのは庶民」と批判的でした。足が早いので、役人に一度も捕まらなかったという設定も登場しました。字の読み書きができないという設定でしたが、後期のストーリーでは字を読める場合もあります。

光圀一行を窮地に陥れた悪人を倒してみんなに見直される夢を見たり、不思議な薬(実はただの胃薬)を飲んで悪人を蹴散らすエピソードもあります。3回だけ格之進の代わりに印籠をかざしたことがありますが、いずれも本来の印籠出しの段取りを無視した滑稽な方法でした。3回目には、見かねた格之進に印籠を返却された後、従来のやり方でかざし直されるという場面もありました。また、弥七を狙う霞のお新の短筒を、屋根から飛び降りて阻止したこともありました。

第8部以降

元コソ泥という設定が消滅した後も、弥七との親分・子分関係は引き継がれています。

第28部の終了後、2003年12月15日放送の1000回記念スペシャルに特別出演しました。西山荘を離れて江戸で町人として暮らしていましたが、2009年7月27日の第40部の第1話で5年半ぶりに出演し、同年12月21日放送の第20話にも出演しました。再登場の際は、レギュラーだった頃よりも年齢を重ねた風貌でした。

2011年12月19日の最終回スペシャルでは、江戸で蕎麦屋の蕎麦職人として生計を立てていたことが判明しました。諸国漫遊していた頃の旅先で培った蕎麦の知識と経験を生かした蕎麦打ちが好評のようでした。

後継キャラクター

第29部以降、うっかり八兵衛と同様のコメディリリーフ的な役割のキャラクターはしばらく登場しませんでしたが、第33部から第35部までよろず屋の千太、第36部の第10話から第39部までおけらの新助が登場しました。

また、第40部からはうっかり八兵衛が江戸で出会った孤児で、同じ「八兵衛」の名前であった縁から親代わりに面倒を見ていて実の子同然に可愛がっているちゃっかり八兵衛が新レギュラーとして登場しました。

雑記

八兵衛が江戸時代の日本で知られていないはずの「ファイト」という外来語の台詞を発したという都市伝説がありましたが、テレビ番組で検証した結果、ガセネタであることが判明しました。

高橋元太郎さんは、撮影に一度も遅刻をしたことがないなど、非常に真面目で几帳面な性格であり、バラエティー番組のゲスト出演などでそういった一面を見せた際に、「しっかり八兵衛」と呼ばれることもあります。

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