宇都宮花火大会:地域住民がつむぐ、夏の夜空の物語
宇都宮花火大会は、
栃木県宇都宮市で毎年開催される、地域密着型の感動的な花火大会です。主催は地元のNPO法人『
特定非営利活動法人 うつのみや百年花火』。多くの
ボランティアスタッフの協力によって支えられ、全国でも類を見ない独自の取り組みが特徴となっています。
大会の歴史:復活劇と百年への誓い
宇都宮の花火大会の歴史は古く、昭和42年には宇都宮の夏まつりの一部として行われていました。その後、盆踊り大会と併催されることもありましたが、消防許可の問題などで一度は中止を余儀なくされました。1984年の『
'84とちぎ博』の前夜祭として開催された花火大会が雨で延期されたことをきっかけに、翌年から栃木新聞社、その後は
下野新聞社が主催を引き継ぎました。しかし、2003年の
足利銀行経営破綻による経済悪化の影響を受け、2004年から中止となりました。
2007年、「もう一度宇都宮の夜空に花火を」という熱い思いを持った有志たちが実行委員会を結成し、花火大会は見事復活を遂げます。そして2012年には、未来へこの花火大会を繋ぐため、全国初となるNPO法人「NPO法人うつのみや百年花火」を設立。地域住民の強い意志と情熱によって、宇都宮の花火大会は新たな歴史を刻み始めました。
宇都宮花火大会は、会長、副会長、事務局長を中心に構成される実行委員会と、多くの
ボランティアスタッフによって運営されています。実行委員会のメンバーは、約1年間かけて様々な企画や準備を行い、大会の中核を担います。また、花火大会直前の設営から当日の運営補助、撤去・清掃までを手伝う短期
ボランティア「ドリーム
スタッフ」も重要な役割を担っています。ドリーム
スタッフには、記念Tシャツと
ボランティア証明書の発行も行われています。
さらに、2014年に誕生した公式マスコットキャラクター「みやどん」も、大会を盛り上げる存在として活躍。
栃木県内のイベントに参加し、積極的にPR活動を行っています。
大会内容:地域と一体となった演出
宇都宮花火大会は、単なる花火の打ち上げにとどまりません。毎年テーマを設定し、そのテーマに沿った花火を打ち上げます。また、地域の子どもたちを対象とした「はなびの絵展覧会」を実施し、入賞作品を実際に花火で再現するなど、地域との一体感を大切にした演出が特徴です。
2012年からは、雷が多い宇都宮の地域性を活かしたフィナーレ演出「雷都うつのみや」が導入され、大迫力の光と音で観客を魅了します。2016年からは、市民の想いを込めたメッセージ花火「ことだま花火」も実施され、感動を共有する場となっています。
花火の打ち上げは、須永花火(2017年
倒産後、須永花火田島煙火工場として再参加)、アルプス煙火工業、マルゴー、丸玉屋小勝煙火店など、複数の煙火店が担当。2003年まで打ち上げられていた二尺玉は、2017年を最後に廃止されました。
アクセスと交通規制
会場へのアクセスは、JR
宇都宮駅から宇都宮ライトレールを利用するか、車で来場することが可能です。
北関東自動車道上三川IC、真岡IC、東北自動車道宇都宮ICが最寄りの
インターチェンジとなります。会場周辺は交通規制が行われ、渋滞が予想されるため、早めの来場が推奨されています。渋滞緩和のため、シャトルバス運行のある
駐車場も用意されています。
資金調達とメディア露出
一般的な花火大会とは異なり、宇都宮花火大会は
企業や
行政からの資金援助に頼らず、
ボランティアによる協賛金募金、有料席の販売などで資金を調達しています。その活動は、
とちぎテレビをはじめ、BS日テレ、TBS、NHK、フジテレビなどのテレビ番組や、宇都宮コミュニティメディア「ミヤラジ」のラジオ番組でも取り上げられ、広く注目を集めています。
未来への繋ぎ
2020年、2021年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で規模を縮小した開催となりましたが、2022年、2023年は有料席制で開催されました。2024年は5年ぶりに通常通りの開催となり、無料席が復活。さらに、LRT
宇都宮ライトレール宇都宮芳賀ライトレール線の開通により、アクセスが向上しました。
宇都宮花火大会は、地域住民の熱意と
ボランティア精神、そして多くの人の協力を得て、これからも夏の夜空を彩り続け、未来へと繋がっていくことでしょう。