えんやこらワイド

四国放送ラジオ（JRT）で長年にわたり親しまれた、平日の朝の帯番組です。1984年 10月8日に放送を開始し、実に30年以上もの間、徳島県のリスナーに様々な情報や話題を届け続け、2016年 3月25日にその歴史に幕を下ろしました。生放送ならではの臨場感あふれるスタイルで、日々の生活に寄り添う番組として多くの支持を集めました。

番組の誕生と変遷

「えんやこらワイド」は、四国放送ラジオの午前中の主要番組としてスタートしました。番組開始から1988年 3月までは、当時人気を博していた日曜夜の番組『あんたがたいしょう』でもコンビを組んでいた遠藤彰良アナウンサーと佐藤旬子アナウンサーが、月曜日から金曜日まで通してパーソナリティを務めました。

その後、1989年 3月までの期間は遠藤彰良アナウンサーが単独でパーソナリティを務め、番組タイトルも「あきよしのえんやこらワイド」と遠藤アナの名前を冠して放送されました。1989年 4月からは金曜日のパーソナリティが遠藤アナ以外の人物に変更されたことに伴い、番組の正式名称は「えんやこらワイド」に戻されました。これは、番組が特定の個人名から離れ、一つの番組ブランドとして確立されていったことを示しています。

放送時間は、開始当初の午前8時50分から午前11時40分という枠から、段階的に拡大されました。1991年 10月からは開始時刻が午前8時45分に、そして1992年 4月からは最終形となる午前8時30分スタートとなり、終了時刻は変わらず午前11時40分でした。この午前中の広い時間帯は、リスナーが朝の準備から日中の活動まで、様々な場面でラジオを聴くことを想定したものでした。

30年を超える長い歴史の中で、「えんやこらワイド」には多くのパーソナリティやアシスタントが登場しました。初代パーソナリティの遠藤彰良アナウンサーをはじめ、山田隆子氏、八幡篤範アナウンサー、宗我部英久アナウンサー、池田賢アナウンサー、森本真司アナウンサー、そして放送終了時点の保岡栄二アナウンサーや遠藤貴巳アナウンサー、小玉晋平アナウンサーなど、多くの四国放送アナウンサーらがメインパーソナリティを務めました。また、アシスタントとしては、番組開始当初の繁崎寛子氏や佐藤旬子アナウンサー、場合久恵氏から、長期間務めた湯浅博美氏、牛田モー氏（現：桂七福氏）、田村素子アナウンサー、佐野美香アナウンサー、そして放送終了時点の皆谷尚美氏など、多彩な顔ぶれが番組を支え、リスナーとのコミュニケーションを深めました。これらの出演者たちの個性が、番組に様々な彩りを与えました。

番組を彩ったコーナーたち

「えんやこらワイド」は、日々の生活に役立つ情報からエンターテインメントまで、多岐にわたるコーナーで構成されていました。番組の核となるのは、毎日のニュース、天気予報、交通情報です。これらは、徳島新聞の協力のもと、正確かつ迅速に提供され、リスナーの一日の始まりをサポートしました。

時間帯に応じて様々な企画や内包番組が放送されました。午前8時台後半から9時台にかけては、「日産フラッシュジャーナル」や「赤帽歌謡特急便」といったスポンサー提供のコーナーや、リスナーの記念日を祝う「お誕生日おめでとう」などが人気を集めました。

10時台は、さらに多様な内容が展開されました。全国ネットの内包番組として、TBSラジオ制作の「秋山ちえ子の談話室」や、時代によって様々な番組が放送された枠（「いきいき歌謡ダイアリー」「純喫茶・谷村新司」「氷川きよし節」など）がありました。また、地域密着の情報として「徳島市政だより」や「県警情報」なども伝えられました。リスナーが参加できる企画として、「電話でしりとり」や、かつて行われていた「ほっかほっか亭ルーレットクイズ」「ラジオdeビンゴ！」といったゲームコーナーは、リスナーとの距離を縮める役割を果たしました。

11時台には、再び「徳島新聞ニュース・天気予報・交通情報」が伝えられるほか、TBSラジオ制作の「永六輔の誰かとどこかで」のような落ち着いた雰囲気の内包番組や、「子育てバンザイ」といった生活に役立つ情報コーナーが設けられていました。ラジオカーリポーターによる中継も、街の最新情報を届ける重要な役割を担っていました。

これらの多彩なコーナーを通じて、「えんやこらワイド」はニュースや情報を伝えるだけでなく、リスナーの悩み相談に乗ったり、一緒にゲームを楽しんだり、生活のヒントを提供したりと、様々な形でリスナーの日常に寄り添いました。

地域社会と共に歩んだ30年

「えんやこらワイド」の最大の特色は、その徹底した地域密着性です。徳島の情報に特化したニュースや生活情報、県内の話題を取り上げるコーナーの数々は、リスナーにとって欠かせない情報源でした。また、パーソナリティとリスナーとの間の親密なコミュニケーションは、番組を単なる情報伝達のメディアにとどめず、地域コミュニティの一員としての役割も果たしました。30年以上にわたり愛され続けた事実は、この地域との強い結びつきを何よりも雄弁に物語っています。

終焉、そして新たな朝へ

2016年 3月25日、「えんやこらワイド」は惜しまれつつ最終回を迎え、その長い歴史に幕を下ろしました。番組の終了は、多くの徳島県民にとって感慨深い出来事でした。しかし、四国放送ラジオの平日の朝のワイド番組の伝統は途絶えることなく、後継番組として『ラジオ大福』がスタートし、現在も徳島の朝の顔として放送を続けています。

「えんやこらワイド」が地域社会に貢献し、リスナーと共に歩んだ30年間の功績は、四国放送ラジオの歴史に深く刻まれています。番組を通じて育まれたリスナーとの絆は、形を変えながらも今に引き継がれています。

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