おおぐま座47番星

おおぐま座47番星：太陽に似た恒星と、その興味深い惑星系

おおぐま座47番星は、地球から約46光年離れた位置にあるおおぐま座の恒星です。太陽に似た黄色の主系列星であり、質量は太陽と同程度ですが、金属量は太陽よりやや多く、約110%に達します。スペクトル型はG1V、表面温度は5855Kと、太陽（G2V、5780K）よりもわずかに高温です。絶対等級は+4.30で、太陽よりも約1.6倍明るい星であることが分かります。

この恒星は、中心部で水素をヘリウムに変換する核融合反応を起こしており、その年齢は、彩層活動の度合いから約60億歳と推定されています。一方で、恒星進化モデルによる推定では、約87億歳という異なる値も得られています。この年齢の差は、恒星進化モデルの精度や、観測データの解釈の違いによるものと考えられます。

注目すべき太陽系外惑星系

1996年、ジェフリー・マーシーとポール・バトラーによって、おおぐま座47番星を周回する惑星（47 Ursae Majoris b）の存在が発見されました。この発見は、ドップラー偏移法、つまり恒星の視線速度の変化を精密に測定することでなされました。惑星の重力によって恒星がわずかに揺れることで、その視線速度が周期的に変化する現象を利用したものです。

47 Ursae Majoris bは、主系列星を公転する系外惑星としては3番目の発見であり、特筆すべきは、その長い公転周期です。それまで発見されていた系外惑星は、恒星に非常に近い軌道を回る「ホット・ジュピター」と呼ばれる高温の巨大ガス惑星がほとんどでした。一方、47 Ursae Majoris bは、公転周期が1089日と長く、軌道離心率も小さいという点で、太陽系の巨大ガス惑星とよく似ています。その質量は木星の少なくとも2.63倍と推定されています。太陽系に置き換えると、火星軌道と木星軌道の中間辺りに位置することになります。

その後、2002年には、デブラ・フィッシャーらによって、第2の惑星（47 Ursae Majoris c）の存在が報告されました。この惑星も、47 Ursae Majoris bと同様に、ドップラー偏移法によって発見されました。当初、その公転周期は約2500日と推定されていましたが、後の観測によって、その値は修正され、約7586日という長い公転周期を持つことが示唆されました。47 Ursae Majoris bとcの軌道比率は約5:2と、太陽系における木星と土星の軌道比率に酷似しており、質量比もおおよそ同程度です。

2010年には、さらに第3の惑星（47 Ursae Majoris d）の存在が示唆されました。この発見は、フィリップ・グレゴリーとデブラ・フィッシャーによるもので、3つの惑星が存在するという仮定の下で、観測データをうまく説明できることが示されたことから導き出されました。このモデルでは、惑星cの公転周期も約2500日に修正されました。

生命居住可能領域と惑星形成

この星系の生命居住可能領域（ハビタブルゾーン）について、シミュレーション研究が行われています。その結果、ハビタブルゾーンの外側領域では、47 Ursae Majoris bの重力影響により地球型惑星は崩壊する可能性が高い一方、内側領域であれば安定した軌道を保てることが示されています。しかし、47 Ursae Majoris bが恒星から2.5AUを切る位置に存在するため、内側の惑星形成は阻害され、惑星の含水量は減少すると考えられています。つまり、仮に地球型惑星が存在したとしても、水が少ない小さな惑星である可能性が高いということです。

名称

おおぐま座47番星は暗い星であり、神話や伝承に基づく固有名はありませんでした。しかし、2015年に国際天文学連合が太陽系外惑星系の名前の公募と投票を行い、おおぐま座47番星系もその対象となりました。その結果、タイ王国の民話「クライトーン」を元に、主星をChalawan（チャラワン）、惑星bをTaphao Thong（タパオ・トーン）、惑星cをTaphao Kaew（タパオ・ゲーオ）と名付けることが決定されました。これらの名前は、タイのアマチュア天文家団体であるThe Thai Astronomical Societyによって提案されました。

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