おおすみ型輸送艦 (2代)

おおすみ型輸送艦：日本の海上輸送力と多様な任務遂行能力

おおすみ型輸送艦は、海上自衛隊が運用する輸送艦の艦級です。戦車揚陸艦（LST）に分類されますが、その多様な機能はドック型輸送揚陸艦（LPD）にも匹敵します。1隻あたりの建造費は約272億円とされ、その高性能ぶりは建造費にも表れています。

圧倒的な輸送力と多様な揚陸能力

本型の最大の特徴は、その圧倒的な輸送能力です。艦内後部のウェルドックには2隻の輸送用ホバークラフトを搭載可能。広大な全通飛行甲板により、ヘリコプターの発着も容易です。これにより、従来の輸送艦をはるかに凌駕する輸送・揚陸能力を実現しています。

陸上自衛隊の部隊であれば、330名からなる普通科中隊戦闘群とその装備、民間人輸送時には約1,000名もの人員を収容できます。さらに、手術室や集中治療室などを備えた充実した医療機能も有し、災害派遣時にも大きな役割を果たします。

多様な運用形態に対応する柔軟な設計

おおすみ型は、エアクッション型揚陸艇（LCAC）の運用を前提とした設計がなされています。護衛艦との協同行動や民間フェリーの高性能化などを考慮し、最大速力22ノットを達成。従来のLSTに見られたビーチング方式ではなく、LCACや航空機による揚陸を行うため、艦首形状を通常船型に変更。海上自衛隊では初めてバルバス・バウを採用することで、航洋性と機動性が大幅に向上しています。

全通飛行甲板は、艦橋構造物を右舷側に寄せるアイランド型とすることで実現。電波ステルス性を高めるため、艦体と艦橋構造物は傾斜がつけられ、凹凸を極力減らした平面で構成されています。また、マストも従来のトラス構造から筒型構造に変更するなど、最新の技術が取り入れられています。

陸自との連携を重視した航空運用能力

ヘリコプター用の格納庫やエレベータは備えていませんが、陸上自衛隊の輸送ヘリコプターを搭載し、運用することが可能です。艦上での飛行作業に不慣れな陸自パイロットの安全確保のため、艦橋構造物を右舷側に配置することで、広大な飛行甲板を確保しています。この設計思想は、後のDDH（ひゅうが型、いずも型）にも影響を与えたとされています。

充実した機関と先進技術の採用

主機関は、とわだ型補給艦と同様の三井造船製ディーゼルエンジンを2基搭載。護衛艦以外では初めて可変ピッチ・プロペラ（CPP）を採用し、バウスラスターも装備することで、出入港支援が得られない港湾でも容易に接岸できます。

多様な任務に対応する高い輸送力

車両甲板は、第1甲板と第4甲板に配置。車両はサイドランプから直接出入りでき、エレベータも備えています。戦車などの重量物を含め、陸上自衛隊の中隊戦闘群を1隻で輸送できる能力を有します。災害時における民間人輸送にも対応できるなど、多様な任務への対応力も兼ね備えています。

継続的な改善と近代化

運用開始後も、おおすみ型は継続的に改善と近代化が図られています。LCACのスカート部分の改修、AAV7水陸両用装甲兵員輸送車の運用対応、エレベータ耐荷重向上など、様々な改修が行われ、その運用能力は常に進化しています。

多様な任務と高い評価

おおすみ型は、自衛隊海外派遣、災害派遣、国際緊急援助活動など、幅広い任務でその能力を発揮しています。その高い輸送力と多様な機能は、国内外の災害救援や平和維持活動において、大きな役割を果たしています。

多くのフィクション作品に登場

その高い知名度から、おおすみ型は多くの映画、アニメ、漫画、小説などのフィクション作品にも登場しています。架空の戦場や災害現場において、その存在感は作品にリアリティを与えています。

まとめ

おおすみ型輸送艦は、その高い輸送力と多様な機能を活かし、日本の海上輸送力の中核として重要な役割を果たしています。今後もその能力は進化し続け、様々な任務で活躍することが期待されます。

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