おくどうご2

おくどうご2：フェリーの歴史を彩った1隻

1973年4月、愛媛阪神フェリーの新たな船として『おくどうご2』は誕生しました。高知重工業で建造された同船は、神戸～今治航路に就航し、活気あふれる瀬戸内海の航路に貢献しました。既存の『おくどうご』と比較すると、ブリッジのデザインが変更され、船室も拡張。総トン数は約400トン増え、旅客定員も50名増加するなど、快適性を追求した設計が施されていました。

愛媛阪神フェリーでの活躍後、『おくどうご2』はダイヤモンドフェリーに用船され、航路は神戸～松山～大分へと移ります。この航路では、フェリー『おくどうご3』とともに航行していました。1982年には、来島どっくから用船された『おくどうご6』『おくどうご8』の就航に伴い、『おくどうご』とともに引退を迎えました。

引退後も、『おくどうご2』の活躍は続きます。一旦は来島どっくで予備船として使用されますが、1987年には台湾のTaipong Steam Shipsに売却され、船名は『Happy Princess』へと変わりました。その後、1999年にはフィリピンのネグロスナビゲーションに売却され、『Princess Of Negros』として再び海を航海します。長い航海の生涯を終え、『おくどうご2』は2007年に解体されました。

設計と船内設備

基本設計は『おくどうご』とほぼ同じでしたが、ブリッジの形状変更やAデッキ後部の船室増設など、いくつかの改良が加えられていました。船室は、特等室、一等室、特二等室、二等室と、様々なクラスが用意され、乗客のニーズに対応できるよう設計されていました。

航路と就航

愛媛阪神フェリー

神戸港（東神戸フェリーセンター） - 今治港

ダイヤモンドフェリー

神戸港（東神戸フェリーセンター） - 松山港 - 大分港

事故・インシデント

『おくどうご2』の航海においては、2件の衝突事故が記録されています。

機帆船八幡丸との衝突事故（1973年6月30日）

濃霧の中、神戸市垂水区平磯沖で機帆船『八幡丸』と衝突しました。濃霧のため視界が悪かったことが事故原因の一つと推測されます。『八幡丸』は沈没しましたが、乗組員2名は『おくどうご2』に救助され、幸いにも負傷者は出ませんでした。

コンテナ船第十八勢栄丸との衝突事故（1986年6月29日）

瀬戸内海の備後灘東部で、コンテナ船『第十八勢栄丸』と衝突しました。こちらも濃霧注意報が発令されており、視界不良が事故に繋がったと推測されます。『おくどうご2』は船首上部を圧壊するなど大きな損傷を受けました。事故調査の結果、両船とも霧中信号を鳴らさず、減速せずに航行していたことが原因の一つとして挙げられています。

まとめ

『おくどうご2』は、愛媛阪神フェリー、ダイヤモンドフェリーで活躍したフェリーとして、その歴史に名を刻みました。数々の航路を航海し、多くの乗客を運んだ一方、衝突事故といった困難にも直面しました。その生涯は、日本のフェリーの歴史の一端を担うものであり、日本の造船技術や海運事業の変遷を知る上で貴重な資料となっています。

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