おとめ座ガンマ星

おとめ座γ星（ポルリマ）

おとめ座γ星、別名ポルリマは、おとめ座に位置する明るい連星系です。この星系は、2つのF型主系列星から構成されており、肉眼でも観測できる明るさを持っています。それぞれの恒星は、視等級が3.44と3.484と非常に近い値を示し、互いに約168.93年周期で公転運動をしています。

連星系の特徴

おとめ座γ星は、その連星としての特徴から、天文学的な観測対象として重要な役割を果たしています。しかし、二つの恒星を個別に観測するには、高性能の望遠鏡が必要となります。最後に伴星が近日点を通過したのは1836[[年]]で、次に近日点を通過するのは2020[[年]]でした。この連星系全体の視等級は2.74等であり、地球からは約38光[[年]]離れています。連星の公転周期が168.93年であることから、観測によって連星系の軌道がより詳細に把握されてきています。

黄道近傍と掩蔽

おとめ座γ星は黄道の近くに位置するため、時折、惑星や月によって隠される現象、掩蔽が起こります。例えば、2011年6月には土星が、おとめ座γ星から約15分の位置まで接近しました。このような天体現象は、地球からの観測によって、天体の動きや位置関係を理解する上で重要な情報を提供します。

恒星の年齢

恒星磁場の強さを示すX線の観測データから、おとめ座γ星の年齢は約11億4000万年と推定されています。これは、恒星の進化過程を研究する上で重要な情報であり、恒星の形成や寿命についての理解を深めるのに役立っています。

名称と由来

おとめ座γ星という名称は、バイエル符号によるものです。固有名のポルリマ（Porrima）は、ローマ神話に登場する泉や噴水の女神、カメーネの一柱に由来します。国際天文学連合（IAU）は、2016年7月20日に、この名称を正式に承認しました。また、アラビアの星表では、この星は「吠える犬の一角」を意味する「Laouiyet al Aoua」として記載されており、この名称は「Angulus Latratoris」とラテン語に訳されています。さらに、おとめ座のβ星、γ星、η星、δ星、ε星は、アラビアの月宿で第13番目の「al-ʿawwāʾ」とされていますが、「al-ʿawwāʾ」の具体的な意味は定かではありません。一説には「吠える犬」を指すとも言われています。

中国の星名

中国においては、おとめ座γ星は、δ星、ε星、かみのけ座α星と共に、太微垣の左側の壁を構成しています。γ星は、その中で二番目の恒星とされ、「太微左垣二」と呼ばれています。太微垣の左側の壁は、「東蕃」と「左執法」に分けられることがあり、おとめ座γ星は東蕃の一番目の恒星として「東上相」とも呼ばれます。これらの名称は、古代中国の天文学における星の分類や認識方法を示しています。

まとめ

おとめ座γ星は、その連星としての特性や、黄道に近い位置からくる様々な天体現象、そしてその歴史的な名称など、多様な側面を持つ興味深い天体です。天文学的な観測だけでなく、文化的な側面からも注目されています。今後も、観測技術の進歩により、おとめ座γ星に関する新たな発見が期待されます。

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