お嬢さん社長

映画『お嬢さん社長』あらすじ

1953年12月29日に公開された松竹映画『お嬢さん社長』は、16歳の少女が社長として奮闘する姿を描いたコメディ作品です。主人公の小原マドカは、祖父の重三郎と二人暮らし。祖父は「日本一乳菓株式会社」の社長ですが、ワンマンな経営方針から重役たちと対立し、心労で体調を崩してしまいます。そこで、マドカに一時的に社長の座を譲り、療養に専念することを決意します。

マドカの亡き父は社長の息子で、母は浅草の人気歌姫でした。両親が添い遂げられなかったことに祖父を責めるマドカですが、ある日、お気に入りの歌劇スターを連れ回したことで、舞台監督の秋山五郎に叱責されます。最初は反発していたマドカですが、次第に自分の非を認め、反省します。秋山に謝罪するため浅草のお稲荷横丁を訪れたマドカは、看板屋の並木敬吾や幇間の桜川三八、鍼灸師の娘の菊子と知り合います。また、三八の師匠である一八は、マドカの姿を見て動揺します。一八は、マドカが自分の娘の子供であることを確信するのです。

マドカは、母親の面影を求めて再びお稲荷横丁を訪れ、秋山から母親がいかに素晴らしい存在であったかを聞かされます。母親のような歌手を目指すマドカは、お稲荷さんの初午祭りで歌を披露し、その歌唱力で人々を驚かせます。

その後、マドカは社長秘書の貝谷由美子の強い説得により社長に就任します。子供たちに安くて美味しいお菓子を食べさせたいという思いから、まずは社内の雰囲気を良くしようとコーラス指導を始めます。重役たちとの信頼関係が薄いことを感じたマドカは、広告宣伝に精通した並木に経理をチェックしてもらうことに。その結果、会社の経営状況があまり良くないことが判明します。マドカは、並木を自分のブレーンとして採用し、自社がスポンサーのテレビ番組や広告にマドカ自身を出演させます。この戦略が成功し、商品の売上は倍増。マドカも歌手としてブレイクします。

マドカは、次に2000万円で広告塔を建設することを提案しますが、砂糖の価格高騰により、会社は採算が取れていない状況でした。そんな中、安い砂糖を譲るという商談があり、並木はその話に乗ります。しかし、それは会社をクビになった赤倉千造が仕組んだ詐欺話で、届いた砂糖は混ぜ物で使えないことが判明します。責任を感じた並木は会社を辞め、重役たちは赤倉と共謀して会社を乗っ取ろうと企んでいることが明らかになります。

マドカの不甲斐なさを心配した祖父は再び登場し、海外輸出の話を持ちかけます。しかし、それは詐欺であり、マドカたちはガマ六親分の協力を得て、その詐欺を暴きます。さらに、重役たちが赤倉と結託して会社を乗っ取ろうとしていたことも明らかになります。

テレビ番組「日本一アワー」のステージには、社長として、そして歌姫として成長したマドカの姿がありました。彼女は、困難を乗り越え、見事に会社を立て直すことに成功したのでした。

スタッフ

企画：福島通人
製作：久保光三
監督：川島雄三
脚本：富田義朗・柳沢類寿
撮影：西川享
照明：高下逸男
録音：妹尾芳二郎
美術：梅田千代夫
音楽：万城目正
挿入歌：「若い歌声」「悲しきおもかげ」「楽しい日曜日」「星影の愁い」
編集：斉藤正夫
振付：縣洋二
装置：古宮源蔵
装飾：守谷節太郎
現像：林竜次
衣裳：斉藤耐三
監督助手：中平康
進行：新井勝次

キャスト

小原マドカ - 美空ひばり
秋山五郎 - 佐田啓二
貝谷由美子 - 月丘夢路
小原重三郎 - 市川小太夫
桜川一八 - 坂本武
並木敬吾 - 大坂志郎
桜川三八 - 桂小金治
森川お杉 - 桜むつ子
森川菊子 - 小園蓉子
貝谷経理部長 - 有島一郎
安田専務 - 多々良純
赤倉千造 - 清水一郎
三戸宣伝課長 - 永井達郎
森川松造 - 竹田法一
ガマ六親分 - 高屋朗
その他、多数出演

監督の言葉

川島雄三監督は、本作について「お正月映画で、美空ひばりさんでやった、唯一のものです」と語っています。また、美空ひばりの役柄について、少女であるべきか、女性としての色気を出すべきか議論した結果、「少女の段階でやってくれ」と言われたことを明かしています。

外部リンク

お嬢さん社長 - 映画.com
お嬢さん社長 - 日本映画データベース

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