お昼のN天ワイド

『お昼のN天ワイド』（おひるのエヌてんワイド）は、テレビ朝日系列で1994年 10月3日から1997年9月26日にかけて、平日昼前に放送されていた情報番組です。通称は『N天ワイド』。

この番組は、それまで放送されていた『ザ・ニュースキャスター』の放送時間が縮小されたことを受けてスタートしました。ニュース、天気予報、そして生活に役立つ情報が盛り込まれた、いわゆるオムニバス形式の報道番組として構成されていました。

放送時間と構成

番組は月曜日から金曜日まで、午前11時30分から正午までの30分枠で放送されました。番組名には「ワイド」と冠されていましたが、実際にオリジナルの情報パートが放送される時間は15分程度であり、実質的にはミニ番組としての性格が強かったと言えます。

時間構成としては、まず11時30分からの前半約15分が、その日のヘッドラインニュースや最新ニュースフラッシュ、そして生活密着情報などを伝えるパートでした。この時間帯には、気象予報士の高塚哲広氏（当時は高塚てつ彦名義）による詳しい気象情報も伝えられました。前半部分の進行役には、ワイドショーなどで司会やリポーターを務めた経験を持つ寺崎貴司氏、藤井暁氏、山口豊氏らが名を連ねていました。

続く11時45分からは、後半パートとして『ANNニュース』が内包されていました。この全国ニュースパートは、主に当時のテレビ朝日アナウンサーである高井正憲氏と女性キャスターが担当しました。

番組の特徴と放送期間中の出来事

『お昼のN天ワイド』の本編部分は、テレビ朝日と一部の系列局に限られて放送されていました。また、番組中に流れるCMについても、系列局ごとに異なるものが放送されるなど、ローカルセールス枠の性質が強い番組でした。

番組が放送された1994年から1997年にかけては、日本社会にとって非常に大きな出来事が相次いだ時期でもあります。阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件、そして一連のオウム真理教関連事件などが含まれます。これらの大事件が発生した際には、緊急報道のために番組内容が大幅に変更されたり、特に1995年頃には、実質的に番組が休止扱いとなるケースが頻繁に見られました。

また、ローカルセールス枠という特性から、一部地域では全国高等学校野球選手権大会の地方予選中継などの特別編成により、前半の本編部分がネットされず、11時45分からの『ANNニュース』のみが放送されることもありました。

瀬戸内海放送（KSB）では、番組名を『KSB DAY・WATCH』と改題して放送していましたが、番組冒頭の挨拶では「お昼のN天ワイドです」と、元の番組名がそのまま使用されていたという特徴的な事例もありました。

エンドカードの表示方法にも変化が見られました。番組開始から1996年3月までは『ANNニュース』の終了後に「ANNお昼のN天ワイドおわり」と表示されていましたが、1996年4月以降最終回までは、本編終了後に「お昼のN天ワイドおわり」と表示されるようになりました。

番組のオープニングでは「こんにちは」という挨拶がありましたが、内包される『ANNニュース』の冒頭では特に挨拶はなく、「今日、これ迄に入っているニュースをまとめてお伝えします」といったコメントから始まる形が取られていました。

主なコーナー

番組内で放送された主なコーナーには、以下のようなものがありました。

- ヘッドラインニュース: その日最も注目すべきトップニュースを1項目伝えるコーナー。
- ヘッドラインフラッシュ: 最新のニュースを3項目程度まとめて伝えるコーナー。
- N天特集: 生活に密着した情報を扱うコーナー。
- 【ローカル枠】高塚てつ彦のお天気研究所: 気象予報士の高塚氏が関東地方や全国の天気を詳しく解説するコーナー。多くの系列局では関東地方の予報がそのまま放送されていました。
- 【ローカル枠】あの日あの時: 懐かしい楽曲に乗せて、過去の出来事や世相を振り返るコーナー。
- ANNニュース: 全国向けのニュースを伝えるパート。

キャスター

番組を担当した主なキャスターや出演者には、以下のような顔ぶれが見られます。多くの担当者は当時のテレビ朝日アナウンサーでした。

- 勝恵子、戸田信子、高塚哲広（気象予報士）
- 寺崎貴司（『パワーワイド』担当のため降板）
- 藤井暁（『ワイド!スクランブル』担当のため降板）
- 山口豊（本番組終了後も『ワイド!スクランブル』内のニュースを継続担当）
- 高井正憲（主に『ANNニュース』を担当）
- 川北桃子、大下容子、坪井直樹、丸川珠代（いずれも当時テレビ朝日アナウンサー）

※高塚哲広氏は朝日放送（現・朝日放送テレビ）元アナウンサーという経歴も持っています。

ネット局

『お昼のN天ワイド』は以下のテレビ朝日系列局などで放送されました。

- 同時フルネット局: テレビ朝日（制作局）、北海道テレビ、青森朝日放送、秋田朝日放送、新潟テレビ21、長野朝日放送、北陸朝日放送、瀬戸内海放送（改題ネット）、愛媛朝日テレビ、琉球朝日放送など。岩手朝日テレビは1996年10月の開局から、愛媛朝日テレビは1995年4月の開局からネットを開始しました。山口朝日放送と大分朝日放送は1995年3月31日で本編のネットを打ち切っています。
- 11:45飛び乗り局: 主に『ANNニュース』のみをネットしていた局です。
- 時差フルネット局: CS放送の朝日ニュースターでも、午後の時間帯に放送されていました。

前述の通り、11時45分までの前半パートはローカルセールス枠のため、編成の都合でネットされない地域もありました。琉球朝日放送では、前半のローカル枠を自社制作のローカルニュースに差し替えて放送していました。

番組の終焉

『お昼のN天ワイド』は、1997年9月26日の放送をもって終了しました。番組の役割は、同日から放送が始まった後継の情報番組『ワイド!スクランブル』に引き継がれる形となりました。最終回では、同時期に廃止が決定していた信越本線横川駅からの生中継で番組を締めくくりました。

山形テレビでは、同時期に『YTSお昼のN天ステーション』という類似したタイトルの昼のローカルニュース番組を放送していましたが、これは別の番組です。

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