お金と友情

お金と友情(GRIN AND SHARE IT)：ドルーピーとブッチの珍道中

1957年5月17日、[メトロ・ゴールドウィン・メイヤー]より公開されたアニメーション作品『お金と友情(GRIN AND SHARE IT)』。マイケル・ラー監督による、ドルーピーを主人公とした一作です。本作品は、MGMを長年支えたフレッド・クインビーとテックス・アヴェリーが同社を去った後、ラー監督が手掛け、ハンナ＝バーベラが制作総括を務めた、記念すべき最初のドルーピー作品でもあります。

欲張りなブッチと騙され上手なドルーピー

物語の中心は、20年間も金を掘り続けてきたブッチとドルーピーの二人。ついにドルーピーが金脈を発見したものの、欲張りなブッチは、二人で山分けする約束を反故にし、金を独り占めしようと企みます。

ブッチはドルーピーを騙そうと様々な策略を仕掛けますが、どれも間抜けな失敗に終わり、自滅を繰り返します。毒殺を試みるも、逆に自分が毒を飲んでしまい墓場入りしたり、ダイナマイトで吹き飛ばされたりと、ドタバタ劇は続きます。しかし、不思議なことに彼は毎回何事もなかったかのように復活します。

一方、ドルーピーはブッチの策略に気づかずに、いつも騙されっぱなし。しかし、ブッチの自滅劇のおかげで、結果的にはドルーピーが得をするという展開に。彼の「欲のない、いい友達だねぇ」という日本語吹き替えは、彼の性格を表す名台詞として長く愛されています。

クライマックスでは、ブッチはドルーピーを騙して金を手に入れようとしますが、代わりにダイナマイトを渡されてしまいます。哀れに思ったドルーピーがブッチにダイナマイトを譲ったその瞬間、ダイナマイトはブッチと金を巻き込んで大爆発。ドルーピーはようやく騙されていたことに気づきますが、時すでに遅しというオチです。

制作陣とキャラクター

本作のスタッフ陣は、アニメーション界の巨匠たちで構成されています。監督はマイケル・ラー、制作総括はウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラという豪華布陣。アニメーション制作にはアーヴ・スペンス、ハーマン・コーエン、ビル・シーペック、ケン・サウスワースらが参加、背景はフェルナンド・モンテアレグレ、レイアウトはエド・ビーンディクト、音楽はスコット・ブラッドリーが担当しています。

ブッチは、テックス・アヴェリー作品に登場するスパイクと同一キャラクターですが、本作以降は「ブッチ」という名前で呼ばれるようになりました。「幸福を呼ぶ小人」を除いては、です。ドルーピーは、その名の通り、騙されやすいながらも、いつも幸運に恵まれる犬のキャラクターです。

日本での放送

日本ではTBS系で放送され、『トムとジェリー』の間に挟まれる形で放映されていました。放送時間や局、時期によって、トリミング処理の方法が異なり、縦に引き伸ばされたり、中央固定で処理されたりしていました。そのため、画質の劣化が見られる場合もあります。

まとめ

『お金と友情』は、ドルーピーとブッチのコミカルなやり取り、そして予想外の結末が魅力的な作品です。制作陣の豪華さ、そして日本での放送の歴史も合わせて考えると、アニメーション史における重要な作品の一つと言えるでしょう。ドルーピーの賢さとブッチのドジさが織りなす、笑いとサスペンスが詰まった、何度見ても楽しめる一作です。

もう一度検索