かしま号

高速バス「かしま号」：東京と鹿島を結ぶ大動脈

「かしま号」は、東京駅と茨城県の鹿嶋市、神栖市、潮来市を結ぶ高速バスです。1989年の運行開始以来、その利便性の高さから多くの人に利用され、現在では日本有数の高頻度運行路線として知られています。

概要

「かしま号」は、鉄道と並行する路線でありながら、低価格な運賃、速達性、使いやすい経路設定、快適な車両などが評価され、利用者を増やしてきました。かつては特急列車「あやめ」と競合していましたが、「あやめ」が廃止された後も、その需要は衰えることなく、高速バス路線として確固たる地位を築いています。

鹿島臨海工業地帯や水郷筑波国定公園といった沿線の特徴から、ビジネス、通勤、通学、観光など、多様な目的で利用されています。また、「水郷潮来あやめまつり」などのイベントや、茨城県立カシマサッカースタジアムでのサッカー観戦といった特別な需要にも対応しています。高速バスとしては珍しく、定期乗車券も発売されているのが特徴です。

2013年3月31日には、交通系ICカードのSuicaとPASMOが導入され、全国の10種類の交通系ICカードが利用可能になりました。ただし、「ミッドナイトかしま号」や一部の臨時バス、カシマサッカースタジアム直行臨時バスでは利用できません。

運行会社

「かしま号」は以下の4社によって運行されています。

ジェイアールバス関東
ジェイアールバステック
関東鉄道
京成バス

運行ルート

東京駅の乗車場所は八重洲南口1番のりば、降車場所は日本橋口です。

主な運行ルートは以下の通りです。

鹿島宇宙センター経由：東京駅 - 水郷潮来 - アートホテル鹿島セントラル - 鹿島製鉄所 - 鹿島宇宙センター - 鹿嶋市役所 - 鹿島神宮 - 鹿島神宮駅
アントラーズクラブハウス経由：東京駅 - 水郷潮来 - アートホテル鹿島セントラル - 鹿島製鉄所 - 鹿島アントラーズクラブハウス - 鹿嶋市役所 - 鹿島神宮 - 鹿島神宮駅
カシマサッカースタジアム発着便：東京駅 - 水郷潮来 - アートホテル鹿島セントラル - 鹿島製鉄所 - 鹿島宇宙センター - 鹿嶋市役所 - 鹿島神宮 - 鹿島神宮駅 - カシマサッカースタジアム（下り）/ 東京駅 - 水郷潮来 - 鹿島神宮駅 - カシマサッカースタジアム（上り）
カシマサッカースタジアム臨時直行便：東京駅 - カシマサッカースタジアム（上りのみ、試合開催日のみ運行）

運行回数

「かしま号」は、1日に88往復運行されています。内訳は以下の通りです。

東京駅 - 鹿島セントラルホテル：1日9.5往復
東京駅 - 鹿島神宮駅（鹿島宇宙センター経由）：下り60本、上り58本
東京駅 - 鹿島神宮駅（鹿島アントラーズクラブハウス経由）：下り10本、上り12本
東京駅 - カシマサッカースタジアム：1日8往復
東京駅 - 鹿島神宮駅（深夜便「ミッドナイトかしま号」）：下り1本

歴史

「かしま号」は1989年4月4日に運行を開始しました。当初は1日6往復でしたが、利用者の増加に伴い増便を重ね、現在の運行本数に至っています。運行開始当初から、鉄道よりも安い運賃と速達性が人気を集め、多くの利用者を獲得しました。

1990年代には、鹿島コンビナートへの出張客や、神栖町、波崎町からの送迎需要などにより、鹿島セントラルホテルバス停が重要な乗り継ぎターミナルとなりました。また、2002年には水郷潮来バスターミナルが現在地に移転し、パーク&ライドでの利用が増加しました。

需要の増加に対応するため、臨時便も多く設定され、1991年の大型連休中には、定期便の3倍もの臨時便が運行されたこともありました。1994年には、特急「あやめ」が大幅に削減され、2007年には「かしま号」の運行本数が87往復に達し、東京駅発の高速バスでは最も便数と利用者数が多い路線となりました。

カシマサッカースタジアムで試合が開催される際には、スタジアムまでの延伸や臨時便の運行が行われます。2011年からは、東京駅とカシマサッカースタジアムを結ぶ直行高速バス（座席指定制）も運行されていますが、こちらは「かしま号」とは別系統の扱いとなります。

年表

1989年4月4日：運行開始（1日6往復）
1990年7月：1日18往復に増便
1992年2月1日：1日36往復に増便
1993年3月：バス停追加（鹿島宇宙通信センター）
1993年10月：1日45往復に増便
1998年10月：1日60往復に増便
1999年10月：1日63往復に増便
2000年4月：一部便を鹿島アントラーズクラブハウス経由に変更
2001年3月20日：鹿島セントラルホテル発着便を新設（1日69往復）
2006年3月11日：カシマサッカースタジアム発着の直行便を運行開始（1日75往復）
2007年11月16日：カシマサッカースタジアム発着便を増便、鹿島神宮駅発着便を増便（1日87往復）
2009年7月1日：鹿島バスターミナルの廃止に伴い、バス停名を「鹿島神宮」に変更
2009年7月11日：カシマサッカースタジアムでの試合開催時に、試合開始6時間前から2時間前までの鹿島神宮駅行きの便がカシマサッカースタジアムまで延伸
2011年7月15日：1日81往復に減便、回数券の発売を終了
2012年1[[1月1日]]：バス停名「住友金属」から「鹿島製鉄所」に変更
2013年3月31日：ICカードSuica・PASMOのサービスを開始
2013年5月31日：4枚綴り回数券の販売を終了
2013年6月10日：定期券の発売を開始
2013年8月1日：深夜便「ミッドナイトかしま号」の運行を開始
2018年7月1日：下り深夜便の運賃を改定
2018年7月13日：1日6往復増便（1日88往復）、ジェイアールバステックが運行に参入
2019年2月1日：運賃を改定
2019年4月1日：スマホアプリで定期券の購入が可能に
2019年10月1日：消費税率引き上げに伴い、運賃を改定
2020年3月16日：新型コロナウイルスの影響により、一部便を減便
2020年4月16日：特別ダイヤでの運行
2020年5月7日：鹿島宇宙通信センターのバス停を休止
2020年7月1日：鹿島宇宙通信センターのバス停を移設、鹿島宇宙センターに変更
2020年11月9日：特別ダイヤを変更
2021年5月10日：上り便の運行経路・時刻を変更
2021年6月7日：一部便の担当が水戸支店となる
2021年12月10日：特別ダイヤを変更、1日57往復に増便
2022年7月16日：特別ダイヤを変更、1日63往復に増便
2023年1月1日：運賃改定。
2024年4月1日：ダイヤ改正を実施
2024年12月4日：「鹿島セントラルホテル」バス停を「アートホテル鹿島セントラル」に名称変更

ミッドナイトかしま号

「ミッドナイトかしま号」は、東京駅と鹿島神宮駅を結ぶ深夜急行バスで、2013年8月1日に運行を開始しました。全席指定制で、事前予約が必要です。運賃は通常便よりも割高ですが、通常便の定期券でも差額を支払うことで乗車できます。

運行会社：関東鉄道
運行ルート：東京駅八重洲南口 - 水郷潮来 - 鹿島セントラルホテル - 鹿島製鉄所 - 鹿島宇宙センター - 鹿嶋市役所 - 鹿島神宮 - 鹿島神宮駅
2020年3月27日：新型コロナウイルスの影響により、当面の間運休

カシマサッカー号

「カシマサッカー号」は、カシマサッカースタジアムで鹿島アントラーズの試合が開催される際に運行される臨時バスです。全席指定制で、事前予約が必要です。運賃の他に座席指定料がかかり、IC割引は適用されません。カシマサッカースタジアムの停留所は、「かしま号」とは異なります。

運行会社：ジェイアールバス関東、ジェイアールバステック、関東鉄道、京成バス、京成トランジットバス、関鉄観光バス
運行ルート：東京駅（八重洲南口乗車、日本橋口降車） - カシマサッカースタジアム（無停車）
2011年3月6日：運行開始
2011年3月11日：東日本大震災の影響で運休
2011年6月4日：運行再開
2020年2月28日：新型コロナウイルスの影響により運休
2020年9月27日：運行再開

車両

「かしま号」には、各社とも40-44人乗りのトイレ付きハイデッカーが使用されています。かつては、他の営業所から貸切車を動員して運行していた時期もありましたが、現在は各社の担当支店・営業所で対応しています。ただし、サッカー開催日や学休期間などの混雑日には、他の営業所から応援に来ることもあります。

「かしま号」では、ダブルデッカーでの運行は設定されていませんが、カシマサッカースタジアム発着の臨時直行便では、二階建てバスやスカニア・アストロメガが使用されることがあります。

関連事項

房総なのはな号：本路線と同様に、特急さざなみの区間短縮のきっかけとなった高速路線バス

外部リンク

JRバス関東 東京〜水郷潮来・鹿島神宮 かしま号/ミッドナイトかしま号
関東鉄道 鹿島〜東京駅線
関東鉄道 ミッドナイトかしま号
京成バス 東京駅〜鹿島セントラルホテル・鹿島神宮駅

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