カテキン

カテキン：多様な生理活性と安全性に関する知見

はじめに

カテキンは、茶などに含まれるポリフェノールの一種です。化学式C₁₅H₁₄O₆で表される化合物ですが、一般的には、その誘導体を含む広義の意味で使われることが多いです。本稿では、カテチンの化学的性質、生理活性、安全性について、詳細に解説します。

カテチンの基礎

カテキンは、1821年にドイツの化学者ルンゲによって、マメ科アカシア属の植物から抽出された生薬「カテキュー」から単離されました。その後、エーゼルベックによって命名されました。語尾の「-in」は、塩基性物質を示す一般的な接尾辞です。

カテキンには、(+)-カテキンと(-)-カテキンという鏡像異性体が存在します。また、エピカテキンとその鏡像異性体も存在し、カテキンとエピカテキンはジアステレオマーの関係にあります。

茶カテキン

私たちが日常的に摂取する茶カテキンは、1929年から辻村みちよらによって研究され、結晶状に単離されました。茶カテキンは、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、没食子酸エピカテキン(ECg)、没食子酸エピガロカテキン(EGCg)の4つの主要成分から構成されています。緑茶にはこれらの化合物が含まれ、その含有量はEGCg＞EGC＞ECg＞ECの順です。茶葉の水分を除いた重量の13～30％を占め、緑茶の渋み成分として知られています。紅茶製造過程の発酵では、ポリフェノールオキシダーゼの作用により、テアフラビンやテアルビジンへと変化します。

カテチンの生理活性

カテキンは、多様な生理活性を有することが報告されています。主なものとして、血圧上昇抑制作用、血中コレステロール調節作用、血糖値調節作用、抗酸化作用、抗老化作用、抗突然変異作用、抗癌作用（食道癌、胃癌、大腸癌、結腸癌、膵臓癌、肺癌、前立腺癌、乳癌、膀胱癌など）、抗菌作用、抗う蝕作用、抗アレルギー作用などがあります。

アメリカ合衆国では、チャノキ抽出物（シネカテキンス）が性器ヘルペス（HPVウイルス）治療薬として承認されています。また、虫歯予防を目的とした食品への利用も盛んであり、特に子供向け菓子への配合が多く見られます。さらに、茶カテキンの生理効果を特徴とした特定保健用食品も数多く販売されています。

高濃度茶カテキンと特定保健用食品

日本では、茶カテキンを有効成分とした特定保健用食品が販売されており、「体脂肪が気になる方」向けとして機能性の表示が許可されています。カテキンが体脂肪蓄積を抑える作用機序は完全には解明されていませんが、肝臓や筋肉における脂肪消費酵素の活性増強、胆汁酸排出促進などが関与していると考えられています。高濃度のカテキンを含むサプリメントも国内外で販売されています。

茶カテキンの安全性

カナダ、フランス、スペインなどでは、緑茶カテキン摂取が原因と疑われる肝臓障害の報告があります。そのため、ヨーロッパでは一般医薬品としての販売が禁止されています。日本では、現時点では類似の健康被害は報告されていませんが、一度に大量摂取する場合は注意が必要です。

まとめ

カテキンは、茶に含まれる有用なポリフェノールであり、多様な生理活性を有しています。しかし、高濃度摂取による肝臓への影響も報告されており、安全な摂取方法を考慮することが重要です。特定保健用食品など、適切な製品を選択し、摂取量に注意しながら利用しましょう。

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