かみなり坊やピッカリ・ビー

『かみなり坊やピッカリ・ビー』とは

『かみなり坊やピッカリ・ビー』は、1967年4月1日から1968年3月30日まで、NET（現・テレビ朝日）系列で毎週土曜19:30 - 20:00に放送されたテレビアニメです。全53回（全88話）で、毎日放送、放送動画制作、チルドレンズ・コーナーが共同で制作しました。雪印乳業（現・雪印メグミルク）がスポンサーを務め、モノクロで放送されました。

概要

原作はムロタニツネ象の漫画『ビリビリ・ビート』（小学館『週刊少年サンデー』掲載）。雷の力を持つ子供、ピッカリ・ビーが巻き起こす騒動を描いています。また、アニメ放送に合わせて、ムロタニツネ象による漫画『ピッカリ・ビー』も講談社の漫画雑誌『ぼくら』で連載されていました。

番組は2部構成で、初期は前半Aパートと後半Bパートで異なるエピソードを放送していました。そのため、放送回数と総話数が一致しません。途中から、新作エピソードはAパートのみで放送し、Bパートでは過去のエピソードを再放送するスタイルに変更されました。物語の内容も、当初は町内での騒動が中心でしたが、ピッカリ・ビーとワンパクシックスが世界各地を冒険する路線に変更されています。

前番組の『おそ松くん』が人気だったものの、原作のストック不足や視聴者からの批判により、毎日放送は路線変更を決定。健全な路線を目指し、『ビリビリ・ビート』を題材に選んだという経緯があります。ターゲット層を小学校低学年に絞り、次番組の『ファイトだ!!ピュー太』とは対照的に、世相や流行ネタを取り入れない作品となりました。

ムロタニツネ象は、自身としては『ファイトだ!!ピュー太』よりも『かみなり坊やピッカリ・ビー』の方が自分の作品に近いと感じていたものの、主人公のピッカリ・ビーをもう少し悪い子にすれば良かったとも語っています。

放送終了後

長らく再放送の機会に恵まれず、全話のフィルムが行方不明になっていました。そのため、1989年にハミングバードから発売されたVHSとレーザーディスクにオープニング映像が収録されたのみでした。しかし、1990年に毎日放送千里丘放送センターのフィルム保管倉庫で全話分のフィルムが発見され、毎日放送開局40周年記念ソフトとして、一部エピソードを収録したVHSビデオソフトが発売されました。

2005年には、全話収録のDVD-BOXが発売されています。

発見されたフィルムは保存状態が良くなく、画面にゴミが映り込んでいるものが多く、エンディングや次回予告は一部の回にしか収録されていません。特に第1話のフィルムは非常に状態が悪く、画面に縦線が入ったり、音声にノイズが入ったりしています。

エピソード

明石家さんまは、バラエティ番組『テレビ探偵団』で、自身が当時本作のファンだったことを語っています。

あらすじ

雷の国からやってきたピッカリ・ビーは、ポン太郎の家に住み着き、ワンパクシックスと共に様々な冒険を繰り広げます。超能力で悪党を懲らしめたり、珍事件を解決したりします。

登場人物

ピッカリ・ビーと雲井家

ピッカリ・ビー
声 - 千秋ちあき
本作の主人公。雷の国からやってきた子供で、シルクハットを被っています。いたずら好きで、様々な騒動を巻き起こします。
雷雲に乗って空を飛び、雨を降らせるなどの特殊能力を持っています。
指先から出す「ピッカリ光線」で相手を笑わせることができます。
動物の言葉を理解し、話すことができます。
最初は言葉を話せませんでしたが、ポン太郎たちのサポートで徐々に人間界のルールを覚えて成長します。
砂漠のような乾燥地帯では雷雲を作ることができず、ハットを取られると能力を発揮できなくなるという弱点があります。
ポン太郎
声 - 加藤みどり
ピッカリ・ビーが世話になっている雲井家の息子で、ワンパクシックスの一員です。
優しい性格ですが、勉強が苦手です。
雲井カンタロー
声 - 大宮悌二
ポン太郎の父。玩具会社に勤務する会社員で、家では妻や母に頭が上がりません。
雲井あやめ
声 - 佐山智子
ポン太郎の母。美人ですが、成績の悪いポン太郎に厳しい一面もあります。
雲井さくら
声 - 北川千枝子
ポン太郎の祖母。雲井家のご意見番で、ピッカリ・ビーを快く受け入れました。
チーコ
声 - 栗葉子
ポン太郎の妹。兄とは違ってしっかり者です。
ハギシリ
声 - 大竹宏
雲井家の飼い犬。気が小さく、ガポネコの言いなりになっています。

ワンパク6

ゴン太
声 - 高橋和枝
ワンパク6のリーダー。ガキ大将のような見た目ですが、面倒見が良く優しい性格です。
ガミ子
声 - 伊藤牧子
ワンパク6のサブリーダー格で、グループを取り仕切る役割です。
ゲンショク
声 - 小宮山清
太り過ぎで医者から減食を指導されており、走るのが苦手です。
カルダン
声 - 貴家堂子
おしゃれな男の子で、服や髪の乱れを気にしています。
レジ
声 - 白石冬美
常に算盤を持ち歩いている計算名人です。

その他の主な登場人物

00五ェ門
声 - 近石真介
本作のライバル的存在。泥棒や押し売りなど、様々な悪事を働きます。
語尾に「ござるよ」をつけて話すのが特徴です。
発明品を使って悪さをしますが、どこか抜けており、ピッカリ・ビーに懲らしめられています。
次郎吉
声 - 東美江
00五ェ門の子分であるネズミ。
親分の間抜けな行動に呆れています。
ガポネコ
声 - 雨森雅司
眼帯をかけた野良猫のボス。ビーを騙したり、ハギシリの食事を横取りしたりします。ビーやワンパク6とは敵対しますが、時には助太刀することもあります。

スタッフ

原作: ムロタニツネ象
連載: 毎日小学生新聞、ぼくら、たのしい幼稚園
音楽: 萩原哲晶
オーディオ演出: 好川純
制作担当: 清水保夫、土田治、上山憲二
企画制作: 毎日放送、放送動画制作、チルドレンズ・コーナー
脚本: 新井豊、くにとしろう、吉田喜昭、松本力、おぎわらやすひろ、小宮敬、広山明志、ムロタニツネ象、鈴木良武、小川健一、畑中国明 他
演出: 光延博愛、岡迫亘弘、倉橋孝治、小華和為雄、林政行、沢西樹、竹内大三、西浩二、彦根範夫、出崎統、近藤英輔、白石邦俊、上野寿夫、鈴木欽一郎、斉藤博

主題歌

オープニングテーマ: 「ピッカリ・ビーのうた」
作詞 - ピッカリ・ビー・グループ / 作曲・編曲 - 萩原哲晶 / 歌 - 天地総子、ボン・くーる / 台詞：近石真介
挿入歌
「ピッカリ・ビーはいいな」
作詞 - ピッカリ・ビー・グループ / 作曲 - 萩原哲晶 / 歌 - 真理ヨシコ
「雲のドライブ」
* 作詞・作曲・編曲 - 萩原哲晶 / 歌 - 美保くるり

外部リンク

雷の子が活躍する懐かしいギャグアニメ『かみなり坊やピッカリ・ビー』 原作は週刊少年サンデーに連載していた『ビリビリビート』 (中野晴行【マンガ探偵局がゆく】、夕刊フジ掲載、2022年9月15日)

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