そして3人が残った

そして3人が残った

『そして3人が残った』（原題: ...And Then There Were Three...）は、イギリス出身のプログレッシブ・ロック・グループ、ジェネシスが1978年に発表した、通算9枚目のスタジオ・アルバムです。この作品は、ギタリストであったスティーヴ・ハケットの脱退を経て、バンドが中心メンバー3人（フィル・コリンズ、マイク・ラザフォード、トニー・バンクス）によるトリオ編成で初めて制作したアルバムであり、その構成メンバーの変化がアルバムタイトルに冠されています。

制作背景

リードギタリストであったスティーヴ・ハケットのバンドからの離脱後、ジェネシスは新たな正式メンバーを加えませんでした。これに伴い、ベーシストのマイク・ラザフォードがギターパートも兼任することになりました。ライブパフォーマンスにおいては、アルバムリリース当初はラザフォードがギターを担当し、サポートベーシストにアルフォンソ・ジョンソンを迎える案も検討されましたが、最終的にはダリル・ステューマーがサポートメンバーとして参加することが決定しました。ステューマーは、楽曲によってギターとベースをラザフォードと入れ替わりながら演奏するという形で、ライブにおけるサウンドを支えました。

アルバムのジャケットデザインは、彼らが1974年の『眩惑のブロードウェイ』以降、スタジオアルバムで継続的に起用してきたアート集団、ヒプノシスが担当しました。ヒプノシスの一員であったストーム・ソーガソンは、このデザインについて、たいまつ、自動車、タバコの光の軌跡を用いて物語性を表現しようと試みたと後に語っています。しかし、ソーガソン自身は、このデザインを自らの作品の中でも「失敗作」の一つとして評価しています。

商業的な成功

本作は、イギリスのアルバムチャートにおいて良好な成績を収めました。全英アルバムチャートでは32週にわたってランクインし続け、最高位は3位を記録しました。また、このアルバムからの先行シングル「フォロー・ユー・フォロー・ミー」は、ジェネシスにとって初めて全英シングルチャートのトップ10入り（最高7位）を果たすという重要な成功をもたらしました。続いてシングルカットされた「メニー・トゥー・メニー」も、全英チャートで43位に達しています。

アメリカ合衆国においても、『そして3人が残った』はバンドにとって大きな前進となりました。Billboard 200では最高14位にランクインし、初めて全米トップ20入りを達成しました。特に「フォロー・ユー・フォロー・ミー」は、Billboard Hot 100で23位に到達し、ジェネシスにとって初めて全米トップ40シングルとなる記念碑的な楽曲となりました。

収録曲

1. 「ダウン・アンド・アウト」 - "Down and Out" (フィル・コリンズ, マイク・ラザフォード, トニー・バンクス) - 5:27
2. 「アンダートウ」 - "Undertow" (バンクス) - 4:47
3. 「バラッド・オブ・ビッグ」 - "Ballad of Big" (コリンズ, ラザフォード, バンクス) - 4:50
4. 「スノーバウンド（旧邦題 銀世界）」 - "Snowbound" (ラザフォード) - 4:31
5. 「バーニング・ロープ」 - "Burning Rope" (バンクス) - 7:10
6. 「ディープ・イン・ザ・マザーロード」 - "Deep in the Motherlode" (ラザフォード) - 5:15
7. 「メニー・トゥー・メニー」 - "Many Too Many" (バンクス) - 3:31
8. 「シーンズ・フロム・ア・ナイツ・ドリーム（旧邦題 ネモの夢から）」 - "Scenes from a Night's Dream" (コリンズ, バンクス) - 3:29
9. 「セイ・イッツ・オールライト・ジョー」 - "Say It's Alright Joe" (ラザフォード) - 4:21
10. 「ザ・レディ・ライズ」 - "The Lady Lies" (バンクス) - 6:08
11. 「フォロー・ユー・フォロー・ミー」 - "Follow You Follow Me" (コリンズ, ラザフォード, バンクス) - 4:03

参加ミュージシャン

フィル・コリンズ - ボーカル、ドラムス、パーカッション
マイク・ラザフォード - ギター、ベース
* トニー・バンクス - キーボード

もう一度検索