ちょうこくぐ座

ちょうこくぐ座（Caelum）の概要

ちょうこくぐ座は、現代の88星座の一つであり、18世紀中頃に考案されました。この星座の名称は、フランス語の「彫刻具」を意味し、版画制作に使用される彫刻道具がモチーフとされています。日本では本州以南の地域で見ることができるものの、領域が狭く、かつ明るい星が存在しないため、あまり目立たない星座です。

主な天体

恒星

2022年4月の時点で、国際天文学連合（IAU）から正式に認められた名称を持つ恒星は一つもありません。しかし、ちょうこくぐ座にはいくつかの注目すべき天体があります。

• - α星：見かけの明るさは4.45等級で、4等星に分類されます。
• - γ星：主星Aは4.574等、伴星Bは8.07等で構成される連星です。この星ははと座との境界に近く、その大きな固有運動により約2400年後にははと座の領域に入る見込みです。

ちょうこくぐ座の歴史

ちょうこくぐ座は、フランスの天文学者ニコラ・ルイ・ド・ラカーユによって1756年に考案されました。彼の星図『Histoire de l'Académie royale des sciences』には、彫刻用の道具が描かれ、フランス語で「les Burins」と名付けられたのが初めての登場です。1763年には、よりラテン語に翻訳された「Caelum Scalptorium」という名称に改められました。

1844年、イギリスの天文学者ジョン・ハーシェルは「Caelum Scalptorium」を短縮して「Caelum」と呼ぶ提案をしました。翌年、フランシス・ベイリーが『British Association Catalogue』においてこの名称を採用したことで、ちょうこくぐ座は「Caelum」として広まっていきました。

1922年にはローマで開催された国際天文学連合（IAU）の設立総会において、現在の88星座の一つとして正式に認定され、星座名が「Caelum」、略称が「Cae」と定められました。この星座には神話や伝説は存在しません。

日本における呼称

日本では、1910年に日本天文学会の会誌で「彫刻具」という名称が初めて提案されました。翌年の『理科年表』や『天文年鑑』にもこの名称は引き継がれました。1952年には日本天文学会が「星座名はひらがなまたはカタカナで表記する」という方針を定め、これ以降「ちょうこくぐ」という名称が公式に使われるようになりました。

まとめ

ちょうこくぐ座は、独特の由来を持つ星座であり、目立たない存在ながらも、天文学の歴史において重要な位置を占めています。その誕生は18世紀にさかのぼり、今もなお天文学者や星座愛好家の間で語り継がれています。

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