はと座

はと座（Columba）

はと座は、現代の88星座の1つとして知られ、聖書のノアの方舟の物語に登場するハトをモチーフにしています。この星座は16世紀に考案され、位置はおおいぬ座の南西、およびうさぎ座の南にあたります。星座の名はラテン語で「Columba」で、意味は「ハト」です。

主な天体

2024年1月現在、国際天文学連合（IAU）により認証されたはと座の恒星は4つです。まず、最も明るい恒星であるα星（ファクト）は、太陽系から286光年の位置にあり、見かけの明るさは2.65等です。この星はB型主系列星で、分光スペクトル中に強い水素の輝線が観測されます。次に、β星（ワズン）は88光年の距離に位置し、見かけの明るさは3.12等の赤色巨星です。さらに、θ星（エルクルド）は782光年の距離にあり、青色巨星で見かけの明るさは4.994等です。

また、WASP-63という太陽系外惑星もこの星座に関連して発見されました。この惑星は942光年離れた場所にあり、2011年に発見され、その後2022年にクロアチアの提案によって新しい名前が付けられました。

常に注目されるμ星は、1,890光年の距離にあり、5等星のO型主系列星で、逃走星として知られています。この星はオリオン座やぎょしゃ座から弾き出されたという説が提唱されています。これらの星に加えて、はと座にはNGC 1851という球状星団も含まれています。

流星群

IAUの流星データセンターによると、はと座に関連する流星群は存在しませんが、この星座は独特の位置づけを持っています。

由来と歴史

はと座の起源は、オランダの天文学者ペトルス・プランシウスが1592年に作成した星図にあります。彼はおおいぬ座の南西にハトの姿を描きましたが、この時には名称は付けられていませんでした。その3年後、ウィレム・ブラウがこのハトに「ノアのハト」を意味する「Columba Noë」という名前を付け、天球儀上にその姿を描きました。

その後も、はと座の名称はドイツの天文学者によって認知され、18世紀にフランスの天文学者ニコラ＝ルイ・ド・ラカイユによってバイエル符号で星座の構成が定められました。1922年にはIAUによって現代の星座の一つとして公式に認定されています。

中国におけるはと座

中国では、はと座の星々は『欽定儀象考成』の中で二十八宿に組み込まれており、特定の星官が関連付けられています。特に、μ星は排泄物を表す星官「屎」に、α星とε星は「丈人」に指定されています。

神話

この星座は旧約聖書のノアの物語に由来しています。神による大洪水からノアの方舟が生き延び、アララト山に留まった際、ノアはカラスとハトを放ちました。ハトがオリーブの若葉を持ち帰ったことで、地上の水が引いたことを知ることになります。

呼称と変遷

ラテン語の学名は「Columba」で、日本語では「はと」と正しく定義されています。1879年の資料で初めて「鳩」という訳が使用された後、この名称は天文学界で広く受け入れられ、現在に至るまで使用されています。これに対して異なる訳語も存在しますが、「はと」という呼称が一般的です。

このように、はと座は歴史的な背景や神話と深く結びついた星座であり、多くの天文学者たちによってその存在が認知されています。

もう一度検索