つくば都市圏

つくば都市圏

茨城県中部に位置するつくば市を中心として形成される都市圏。科学技術研究の中心地であるつくば研究学園都市を核とし、これに隣接する土浦市などの自治体を含む広範な地域を指します。経済規模は県内で最も大きく、その域内総生産は約3兆2595億円に達し、県都である水戸市を中心とした水戸都市圏の規模を上回っています。人口規模においても、茨城県内のみで構成される都市圏としては最大となっています。

定義と規模

都市圏の範囲を定義する際には、一般的に中心都市への通勤・通学者の割合を示す「通勤圏」の考え方が用いられます。つくば都市圏の場合、より狭義の「15%通勤圏」ではつくば市単独で構成されますが、「10%通勤圏」を基準とすると、つくば市に加えて土浦市が含まれます。

総務省が実施した2010年の国勢調査に基づき、雇用構造を分析して設定される都市雇用圏の基準では、つくば都市圏はつくば市と土浦市を中心に、7市1町1村で構成されていました。この都市雇用圏における2015年の総人口は約72万7832人であり、同時期の水戸都市圏の約67万人を大きく超え、茨城県内のみで形成される都市圏としては最も人口が多く、県政においても重要な位置を占めています。

歴史的変遷

つくば都市圏の中心となるつくば市は、比較的新しい都市として成立しましたが、その基礎はかつて存在した周辺自治体にあります。都市雇用圏の変遷を見ると、1980年時点では現在のつくば市域の一部である桜村を中心とした「桜都市圏」が形成されていました。この桜村を含む地域が、後のつくば都市圏の中心部を成していくことになります。

1987年11月30日には、新治郡桜村、筑波郡谷田部町、豊里町、大穂町が合併して新たなつくば市が誕生しました。さらに1988年1月31日には筑波郡筑波町がつくば市に編入され、現在のつくば市の骨格が形成されました。その後も、2002年11月1日には稲敷郡茎崎町がつくば市に編入されるなど、中心市であるつくば市自身の区域が拡大しています。

都市圏の範囲を示す10%通勤圏も変化しています。1990年時点ではつくば市のみで構成されていましたが、1995年および2000年の基準では、つくば市と土浦市を含む範囲へと拡大しました。これは、中心都市への通勤・通学者ネットワークの広がりを示唆しています。

また、つくば都市圏およびその周辺地域では、平成の大合併期を中心に多くの自治体再編が行われました。例えば、1986年には牛久町が市制を施行し牛久市となり、1992年には千代田村が千代田町に、1997年には出島村が霞ヶ浦町へと町制を施行・改称しました。2005年には、岩井市と猿島町が合併して坂東市が、千代田町と霞ヶ浦町が合併してかすみがうら市が、石岡市と八郷町が合併して新たな石岡市が誕生しています。2006年には、下妻市が千代川村を、土浦市が新治村をそれぞれ編入しました。また、水海道市と石下町が合併し常総市となる動きや、伊奈町と谷和原村が合併しつくばみらい市が誕生するなど、周辺の自治体構造も大きく変化しました。さらに、美野里町、小川町、玉里村の合併による小美玉市の成立も、この地域の広範な再編の一環として挙げられます。これらの再編は、都市圏の範囲や構成自治体、地域間の連携構造に影響を与えています。

関連する地域

つくば都市圏は、学術研究機能の集積を核とした独自の発展を遂げながらも、広義には首都圏の一部として位置づけられています。圏域内には、つくば市、土浦市のほか、かすみがうら市、石岡市、小美玉市、つくばみらい市、下妻市、常総市など、多様な特性を持つ自治体が含まれており、それぞれが都市圏全体を構成する重要な要素となっています。稲敷郡の阿見町や美浦村なども、地理的・経済的に関連が深い地域です。

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