づぼらや

づぼらや：大阪のシンボル、ふぐ料理店の歴史と終焉

づぼらやは、かつて大阪の新世界と道頓堀に店舗を構えていた、ふぐ料理の専門店でした。1920年（大正9年）に松田夫婦によって創業された老舗で、長きにわたり大阪の人々に愛されてきました。運営は松田興産株式会社が行っていました。

づぼらやの歴史

づぼらやは、ふぐ料理を手頃な価格で提供することで知られていました。特に「てっちり（ふぐちり）」や「てっさ（ふぐ刺し）」は人気メニューで、多くの人々がその味を求めて訪れていました。かつては、芦屋雁之助が歌うCMソングが広く知られており、大阪の食文化を代表する存在でした。

また、旭食品（八尾市）が製造する「旭ポンズ」は、づぼらやの味を参考に開発されたという逸話も残っています。このことからも、づぼらやが大阪の食文化に与えた影響の大きさが伺えます。

閉店までの経緯

2020年6月11日、づぼらやは新世界本店と道頓堀店の閉店を発表しました。新型コロナウイルス感染症の影響による緊急事態宣言を受け、同年4月8日から休業していました。当初は6月15日の再開を目指していましたが、経営環境の悪化や休業の影響が大きく、再開を断念。9月15日をもって、両店舗は完全に閉店しました。

名物：巨大な提灯看板

づぼらやの店舗には、巨大なトラフグの提灯が掲げられていました。これは、大阪のシンボルの一つとして、多くの人々に親しまれてきました。道頓堀の「くいだおれ太郎」、かに道楽の「カニ」と並び、大阪を代表する看板として知られていました。

しかし、この提灯は大阪市の屋外広告物基準に抵触しているとして、2011年6月に大阪市建設局から撤去指導を受けていました。2020年6月に閉店が発表された際、大阪市長の松井一郎は「（市としては）完全に黙認してきた」と釈明。その上で、「（ふぐの提灯は）大阪の名物看板。安全性を担保できるのであれば、オブジェとして残せる形を考えていきたい」と語り、提灯を維持する意向を示しました。

看板の撤去とその後

閉店に先立ち、提灯は2020年9月3日未明に撤去されました。その後、「皆様お元気で ほな! さいなら」と書かれた垂れ幕が掲示されました。提灯の引き取りについて、新世界のレジャー施設「スパワールド」の運営会社が希望しましたが、づぼらや側は「どこかにお譲りする話はしていない」とし、大阪市内の倉庫に保管することになりました。

まとめ

づぼらやは、大阪の食文化を彩ってきた老舗ふぐ料理店でした。その閉店は、多くの人々に惜しまれました。名物の巨大な提灯看板は、大阪のシンボルとして、今も人々の記憶の中に生き続けています。づぼらやの歴史は、大阪の食文化、そして人々の暮らしの一つの象徴として語り継がれるでしょう。

参考文献

古川澄明「下関フグ卸売市場の「存在力」」山口経済学雑誌57巻5号71-96頁
千野境子『大阪の扉 :「産経新聞大阪特派員」が見つけた文化、人、街…』産経新聞出版、2005年10月。ISBN 4-902970-19-8。

外部リンク

づぼらやホームページ (仮のURL)
7月28日は「なにわの日」です。 - 電気のまち 大阪日本橋でんでんタウン (づぼらやのふぐの看板を中心においた風景画「づぼらや2階より通天閣を望む」を掲載)
* 大阪のおもしろ看板 BEST5 第3位「づぼらや」のフグ - ［大阪の観光・旅行］All About

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