にほんの里100選

「にほんの里100選」は、日本の豊かな自然と文化、そしてそこに息づく人々の営みが織りなす美しい風景、すなわち「里」を顕彰し、その価値を広く伝え、後世に引き継いでいくことを目指して実施された記念事業です。この企画は、朝日新聞社が創刊130周年を迎えた2008年、そして同社によって設立された公益法人である森林文化協会が創立30周年を迎えたことを記念し、両者が共同で立ち上げました。選定委員会の委員長は、著名な映画監督である山田洋次氏が務めました。

このプロジェクトでは、全国に向けて「にほんの里」の募集が行われ、合計で4474件もの応募が寄せられました。集まった応募の中から候補地が絞り込まれ、最終的な100カ所の選定にあたっては、「景観の美しさ」、「生物多様性の豊かさ」、「人々の暮らしや文化などの営み」という三つの基準が重視され、現地調査も実施されました。厳正な審査を経て、未来に残したい日本の里100選が決定されました。

「にほんの里100選」プロジェクトに関連して、選定された里の一部を紹介するテレビ番組も制作・放送されました。テレビ朝日と朝日新聞社が共同で企画したこのミニ紀行番組は、2009年1月11日から3月22日にかけて、毎週日曜日の18時56分から約3分間、テレビ朝日系列のフルネット局を中心に放送されました。全9回にわたり、選ばれた里の風景や人々の生活が、美しい映像と共に女優・貫地谷しほりさんのナレーションで紹介されました。番組は「残したいにほんの里。」というメッセージとスーザン・オズボーンさんが歌う「赤とんぼ Autumn Song」で始まり、エンディングではその日の里にちなんだ「里みやげ」が briefly 5秒間紹介される構成でした。番組制作はテレビ朝日と花組が担当し、ハイビジョン制作かつ字幕放送も実施されました。なお、この番組には特定のスポンサーはなく、CM枠はパーティシペーション扱いでした。テレビ朝日系列のクロスネット局である福井放送とテレビ宮崎では本放送されませんでした。

レギュラー放送で取り上げられた里は以下の9か所です。

新潟県十日町市 松之山・松代（1月11日放送）
埼玉県大里郡寄居町 風布（1月18日放送）
奈良県吉野郡十津川村 桑畑果無（1月25日放送）
宮城県大崎市 蕪栗沼（2月15日放送）
岩手県久慈市 山根六郷（2月22日放送）
埼玉県所沢市・入間郡三芳町 三富新田（3月1日放送）
兵庫県川西市 黒川（3月8日放送）
愛知県新城市 川売（3月15日放送）
* 静岡県賀茂郡松崎町 石部（3月22日放送）

レギュラー番組の終了後、2009年5月3日には特別番組『にほんの里100選スペシャル』が『サンデープレゼント』枠で放送されました。この特番では、ナレーターを務めた貫地谷しほりさんと俳優の加藤晴彦さんが実際に13カ所の里を訪れ、その魅力を深く掘り下げて紹介しました。この特別番組は、前述の福井放送でも翌2010年2月21日に遅れて放送されました。

本企画の発起団体の一つである森林文化協会は、朝日新聞社が創刊100周年を記念して1978年9月に設立した公益法人であり、森林や自然、文化に関する様々な啓発活動を行っています。この「にほんの里100選」プロジェクトは、日本の美しい自然と文化を再認識し、次世代に引き継ぐことの重要性を訴えかける機会となりました。

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