のりのりバス

のりのりバス：つくば市を彩った福祉バスの記憶

のりのりバスは、茨城県つくば市が2002年4月1日から2006年3月31日まで運行していたコミュニティバスです。当初は「福祉循環バス」として試行運行されていましたが、市民からの公募により「のりのりバス」という愛称が採用されました。

運行の背景

2000年9月15日に運行を開始した「福祉循環バス」は、高齢者や障害者、そして自家用車を持たない交通弱者の主要公共施設へのアクセスを支援することを目的としていました。のりのりバスは、一般会計予算による事業であり、保健福祉部が担当していました。小中学校の通学や老人福祉センターなどの公共福祉施設の送迎バスとしての役割と、交通不便地域における生活バスとしての役割を兼ね備えていました。

運行形態

のりのりバスは、13の運行系統を持ち、定められた運行時刻に基づいて運行していました。停留所での乗り降りを行う乗合バス方式を採用し、運行は民間業者に委託されていました。運賃は無料でした。

13の運行系統は、つくば市の広大な市域をカバーし、鉄道駅、バスターミナル、市役所、福祉施設などの公共施設を経由、発着していました。また、路線バスが運行していない地域も循環していました。全系統が毎日運行され（年末年始を除く）、1系統あたり1日2～4往復程度運行されていました。小型マイクロバスが使用され、大型バスが通行できない集落内の狭い道路も経路に採用されていました。1つの系統は距離が長く、各地区を巡回するため、運行経路は複雑で、同じ地点を2度通過する系統もありました。これらの路線の多くは、後につくバスに引き継がれています。

バス停留所の表示板は高さ約145cmと、市内の民営バスのものに比べて低く、小さなものでした。目印として分かりやすくするため、付近の商店や企業名を付けた停留所も存在しました。

2002年11月1日のつくば市と稲敷郡茎崎町の合併により、旧茎崎町の福祉バス「ひまわり号」が2003年4月1日以降、委託会社と車両はそのままで「のりのりバス」の運行体制に組み込まれました。旧ひまわり号の各系統は、旧茎崎町域だけでなく旧つくば市域にも乗り入れるようになり、旧茎崎町東部と筑波研究学園都市中心部を結ぶようになりました。

利用状況

利用状況は、高齢者の福祉センターへの往復利用や、小中高生の通学、学園地区での短距離利用など、多岐にわたっていました。自治体バスとしては珍しく、満員に近い状態になることもありましたが、便や時間帯による利用者の差は大きかったです。2004年度の利用者は、月平均で約28,000人でした。

移動困難者の移動手段を確保するという福祉施策としての側面と、利用制限がない点が評価される一方で、電動車椅子では乗車できないという問題点が指摘されました。2005年3月には、1～11コースのバスに電動車椅子対応の固定装置が装備されました。

2005年8月24日のつくばエクスプレス開業に合わせて、6・7・8・10・11・13コースの変更が行われ、研究学園駅、万博記念公園駅、みどりの駅への接続が図られました（つくば駅は当初から乗り入れていた「つくばセンターバスターミナル」であり、2005年8月24日に停留所名を変更）。

つくバスへの移行

つくばエクスプレスの開業に伴い、市内の交通体系に変化が見られる中、2006年3月限りで、のりのりバスは廃止され、新たなコミュニティバス「つくバス」へと移行しました。運賃は無料から有料（100～400円）に変更され、運行時間も7時から19時までから6時から22時までに拡大されました。つくばエクスプレスの各駅に接続するよう運行コースが変更され、車両はすべてノンステップバスになりました。

のりのりバスは、開始当初から有料化が検討されていましたが、委託事業者である筑波学園タクシー協同組合が道路運送法に基づく一般乗合旅客自動車運送事業許可を受けていないなどの理由から見送られた経緯があります。

運行委託事業者

1～11コース：筑波学園タクシー協同組合
12、13コース：北総交通（水海道市中妻町）

路線

運行系統は「○コース」（○は数字）と称し、起点方向と終点方向の双方向に便が設定されていました。

2005年8月24日現在の運行系統（主な運行地域）

1コース（筑波地区）
2コース（筑波地区）
3コース（筑波地区 - つくば駅）
4コース（大穂・豊里地区 - つくば駅）
5コース（つくば駅 - 桜地区 - 研究学園駅）
6コース（大穂・豊里地区 - つくば駅）
7コース（つくば駅 - 谷田部・豊里地区 - 万博記念公園駅）
8コース（谷田部・豊里地区 - 万博記念公園駅）
9コース（谷田部地区 - つくば駅）
10コース（つくば駅 - 谷田部地区 - みどりの駅）
11コース（谷田部地区 - みどりの駅）
12コース（茎崎地区 - つくば駅）
13コース（茎崎地区 - みどりの駅）

車両

1～11コース：マイクロバス「シビリアン」（日産自動車）
ピンクに赤の水玉のデザインが施されていました。
12、13コース：小型バス「エアロミディMK」（三菱ふそうトラック・バス）
側面にはひまわりのデザインが施されていました。

脚注

関連項目

つくつくバス
茨城観光自動車 - 廃業
牛久市コミュニティバス

外部リンク

* のりのりバス - ウェイバックマシン（2007年1月10日アーカイブ分）

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