つくバス

つくバス（TSUKU-BUS）とは

つくバスは、茨城県つくば市が運行主体となり、関東鉄道が運行業務を担うコミュニティバスです。つくば市の広大な市域をカバーしており、地域住民にとって欠かせない交通手段となっています。

概要

つくバスの名称は公募によって決定されました。つくば市の面積は284.07平方キロメートルと広大で、南北に約30キロメートルにも及ぶため、運行地域が広範囲にわたっています。そのため、一系統あたりの運行距離が長いのが特徴です。

つくば市は、つくバスの運行目的として、市内2次交通の利便性向上を掲げています。運行時間の拡大やノンステップバスの導入など、利用者の利便性向上に努めています。また、自動車からバスへの転換を促すことで、交通渋滞の緩和や環境負荷の軽減も目指しています。

2024年10月1日のダイヤ改正現在、つくバスはつくばエクスプレスのつくば駅、研究学園駅、みどりの駅を起点に、筑波地区、大穂地区、谷田部地区、茎崎地区方面へ11系統が運行しています。これらの路線は、巡回型ではなく直線的に運行し、停留所数は比較的少なく、運行本数が多いのが特徴です。この形態は「幹線バス」的であり、同様の路線形態を持つコミュニティバスは全国でも数少ないです。

運賃は、大人200円から400円の特殊区間制で、一般路線バスに比べて安価に設定されています。一部資料では「市営」と記されている場合がありますが、実際には地方公営企業ではありません。ただし、将来的には独立採算を目指しており、2011年には「学園南循環」が民営の一般路線バスとなりました。また、運行経費の補填の必要がない「北部シャトル」についても一般路線化が検討されましたが、大幅な値上げが予想されるため見送られています。

近隣市町村のコミュニティバスとは異なり、つくバスは年末年始も毎日運行しています。平日と休日も基本的に同じ時刻で運行しているため、利用しやすいのが特徴です。

歴史

運行開始まで

2000年9月15日：福祉循環バスの試験運行を開始
2002年4月1日：福祉循環バス「のりのりバス」として本格運行開始。茎崎町福祉バス「ひまわり号」も運行開始
2003年4月1日：「ひまわり号」を「のりのりバス」に統合。9月1日にはコミュニティバス「つくつくバス」が運行開始
2005年4月1日：「つくつくバス」の一部路線を廃止。8月24日には「のりのりバス」がつくばエクスプレス駅への乗り入れを開始
2006年3月31日：「のりのりバス」と「つくつくバス」を廃止

運行開始以降

2006年4月1日：「つくバス」運行開始（全15系統体制）。
2007年4月16日：「つくば養護学校」停留所を新設。6月11日：北部シャトルの夜間便の一部を「松見公園北」に停車。9月1日：センター循環を廃止し、学園南循環を新設。
2009年11月1日：1・2コースでデマンド運行を開始。
2010年4月1日：市役所新庁舎完成に伴い、一部コースを乗り入れ。12月20日：北部シャトルで自転車ラック付きバスの実証運行を開始。
2011年4月1日：大改編を実施。系統・停留所・運賃・乗車券制度を大幅に変更。学園南循環を関東鉄道の一般路線に移行し、全6系統体制に。10月1日：停留所を若干増加、一部停留所を改称。
2012年4月1日：牧園停留所を新設。西部工業団地停留所を移設。5月6日：作岡シャトルの車両が竜巻に巻き込まれる。10月15日：運行改定で、自由ヶ丘シャトルを2系統に分割。実質全7系統体制に。
2013年10月1日：運行改定で経路変更、停留所増設、移設。
2014年10月1日：富士見台停留所を移設。研究学園C街区および学園の森B街区停留所をそれぞれ研究学園3丁目、学園の森2丁目停留所に改称。12月1日：吉沼シャトルで上郷区間便を新設。
2015年4月1日：小田シャトルに八竜神停留所を新設。8月1日：小田シャトルに北条新田停留所、南部シャトルに高野台停留所を新設。
2016年4月1日：自由ヶ丘シャトル（谷田部）を谷田部シャトルに、自由ヶ丘シャトル（茎崎）を自由ヶ丘シャトルに改称。10月1日：PASMO導入。
2018年10月1日：公共交通改編案に基づく運行改定。
2019年4月1日：西部シャトル、上郷シャトルを新設。北部シャトルに天久保（筑波実験植物園）停留所・テクノパーク桜入口停留所を新設。つくバスとは別に筑波地区支線型バス、茎崎地区実証実験バス運行開始。
2022年4月1日：茎崎地区実証実験バスの本格運行として、茎崎シャトルを新設。西部シャトルに富士見ヶ丘団地入口停留所、自由ケ丘シャトルに自由ケ丘団地中央停留所・富士見台入口停留所を新設。筑波地区支線型バスの運行を終了。10月1日：筑波地区支線型バスつくばね号を本格運行開始。
2024年10月1日：ダイヤ改正を実施。西部シャトルを分割し、（新）西部シャトルとみどりのシャトルを運行開始。吉沼シャトルのルートを一部変更。小田シャトルに「筑波山ゲートパーク入口」停留所を新設。

現行の運転系統

2024年10月1日現在、つくバスは以下の11系統で運行されています。

北部シャトル [H]：つくばセンター - 筑波山口
小田シャトル [O]：つくばセンター - 筑波交流センター
作岡シャトル [S]：研究学園駅 - 寺具
吉沼シャトル [Y]：研究学園駅 - やすらぎの里しもつま
南部シャトル [N]：つくばセンター - 茎崎老人福祉センター（一部便は茎崎窓口センターで折り返し）
谷田部シャトル [Ya]：研究学園駅 - 谷田部窓口センター
自由ヶ丘シャトル [J]：みどりの駅 - 富士見台
上郷シャトル[K]: つくばセンター - とよさと病院
西部シャトル[Se]: 万博記念公園駅 - やすらぎの里しもつま
みどりのシャトル [M]：みどりのプール - 道の駅常総
茎崎シャトル [Ku]：牛久駅西口 - 富士見台

各系統には、上り（A）と下り（B）の区別があり、系統固有番号と組み合わせて表示されます（例：北部シャトルの筑波山口行きはHB）。

各系統の詳細

北部シャトル [H]
つくばエクスプレスを市北部に延伸する構想に基づいて設定された路線。
つくばセンターでつくばエクスプレスの快速に接続。
幹線道路を走行し、約30〜45分間隔で運行。
一部便には自転車ラックを搭載。
小田シャトル [O]
2011年4月の改編で登場した路線。
旧地域循環5コースの一部地域を運行。
約60分間隔で運行。
一部停留所は経由する便が限定。
作岡シャトル [S]
2011年4月の改編で登場した路線。
旧地域循環2, 4, 6コースをルーツ。
約1時間間隔で運行。
吉沼シャトル [Y]
旧地域循環7コースをルーツ。
約75分間隔で運行。
2024年10月にやすらぎの里しもつまへ延伸。
南部シャトル [N]
旧茎崎町福祉バスひまわり号東コースをルーツ。
約30分間隔で運行。
つくばセンターでつくばエクスプレスの快速に接続。
谷田部シャトル [Ya]
旧地域循環9コースをルーツ。
約1時間間隔で運行。
駅近辺の停留所が多い。
自由ヶ丘シャトル [J]
旧茎崎町福祉バスひまわり号西コースをベース。
約1時間半間隔で運行。
関東鉄道藤代みどりの線末端部を代替。
上郷シャトル[K]
旧吉沼シャトルの路線をベース。
約1〜2時間間隔で運行。
西部シャトル[Se]
路線バス廃止区間をカバー。
約1〜2時間間隔で運行。
みどりのシャトル[M]
路線バス廃止区間をカバー。
約1〜2時間間隔で運行。
道の駅常総への乗り入れを開始。
茎崎シャトル [Ku]
約1時間〜1時間40分間隔で運行。

過去の運行系統

センター循環 [C]：つくばセンターを中心に都心部を循環する路線。
地域循環：駅や市役所を起点とする13の循環系統。2011年4月1日の大改編で全廃。
学園南循環 [G]：研究学園地区南部を循環する路線。2011年4月1日に関東鉄道の一般路線に移行。

運行事業者

つくバスの運行は、関東鉄道が担当しています。

つくば中央営業所：南部、谷田部、西部シャトルを担当
つくば北営業所：北部、小田、作岡、吉沼、上郷シャトルを担当
竜ヶ崎営業所：自由ケ丘、茎崎シャトルを担当

交通系ICカード

つくバスでは、全国交通系ICカード（PASMOなど10種類）が利用可能です。運賃支払い、車内での現金チャージに対応していますが、バス利用特典サービスやIC定期券は導入されていません。

運賃・乗車券類

運賃

特殊区間制で、200円、300円、400円のいずれかです。最初の区間は200円に設定されています。

各種割引

小学生以下の小児、市内在住の65歳以上、身体障害者手帳などの提示で運賃が半額になります。

乗継割引

平日9時から17時に、つくバス同士、つくタク（地区内利用のみ）とつくバス、関東鉄道一般路線バスとつくバスなどを乗り継ぐと、2つ目の交通手段の運賃が上限200円になります。乗継券が必要です。

広域連携バス割引

北部シャトルと筑西市広域連携バス、桜川市広域連携バスの間には、100円割引の乗継制度があります。

乗車券類

以下の乗車券が販売されています。

一日乗車券：大人500円、小人250円（土日祝日用）
回数乗車券：500円、1000円、2000円の3種類
定期乗車券：通勤、通学、片道通学の3種類

案内

停留所

停留所名は関東鉄道に合わせており、地名や付近の施設名が採用されています。全ての停留所には、路線の系統固有番号と2桁の数字を組み合わせた番号が振られています。

車椅子で乗降可能な停留所は、つくば市のバスマップや公式サイトで確認できます。標識柱は一般路線バスに似た独自のものを使用しており、「関東鉄道」と小さく記載されています。

つくば市バスマップ

つくば市では、つくバスの路線図や時刻表を掲載したバスマップを作成し、各戸配布しています。

利用状況

つくば市が公表したデータによると、2011年度以降、停留所の増設が行われています。車両の座席定員は、小型バスで11〜14人、中型バスで27人です。

車両

つくバスの車両は以下の通りです。

小型車：日野・ポンチョ、三菱ふそう・エアロミディME（小田、吉沼、西部、自由ヶ丘シャトル）
中型車：いすゞ・エルガミオ（上記以外）

全車両にSDGsのPRラッピングが施されています。北部シャトルには自転車ラックが装備されています。2017年には新型車両が導入され、一部の古い車両が置き換えられました。

不祥事・ミス・事故

2022年後期から2023年にかけて、運行コースの誤りや事故が多発しており、つくば市は運行業者である関東鉄道に再発防止を求めています。

主な事例

2022年10月：対向車との衝突事故、追突事故
2022年12月：運行コースの誤り、停留所通過ミス
2023年2月：運行コースの誤りによる遅延
2023年3月：サイドブレーキの甘さによる後退、運行コースの誤りによる遅延、停留所早発
2023年4月：停留所通過

外部リンク

つくば市 コミュニティバス「つくバス」利用案内
つくば市公共交通活性化協議会
つくば市バスロケーションシステム

もう一度検索