みだれ髪 (美空ひばりの曲)

美空ひばり「みだれ髪」：復帰作に込められた想い

「みだれ髪」は、1987年12月10日に美空ひばりがリリースしたシングルで、彼女の音楽キャリアにおいて重要な一曲です。この楽曲は、福島県いわき市にある塩屋埼灯台をモチーフにしたご当地ソングであり、同名のアルバムも翌1988年1月1日に発売されました。

楽曲の背景

1987年夏、美空ひばりは特発性大腿骨頭壊死症による長期入院から退院し、この曲は復帰第一作としてレコーディングされました。レコーディングでは、オーケストラを含む伴奏が一発録りで行われ、彼女の歌唱力が際立つ形となりました。

作曲を手掛けた船村徹は、以前からひばりの高音、特に裏声に魅力を感じていましたが、過去に楽曲提供を提案した際は、ひばりの母親によって拒否されていました。しかし今回、サビで裏声を使うキー設定が採用され、新たな歌唱表現が実現しました。

作詞を担当した星野哲郎による三番の歌詞「春は二重に巻いた帯 三重に巻いても余る秋」は、ひばり自身が特に気に入っていた部分です。また、当初「祈る女の性かなし」という歌詞は削除される予定でしたが、ひばりが「今の私は『祈る』という言葉を大事にしたい」と申し出たため、二番の歌詞として採用されました。このエピソードからも、ひばりの楽曲への深い思い入れが伺えます。

カップリング曲「塩屋崎」

B面には「塩屋崎」が収録されています。この曲も同じく塩屋埼灯台をテーマにした楽曲ですが、「みだれ髪」とは対照的に、メジャーコード（長調）で、ワルツのリズムを用いた明るい曲調が特徴です。2曲を聴き比べることで、同じ場所を題材にしながらも、異なる雰囲気で表現するひばりの歌唱力を堪能できます。

コンサートでの披露

1988年4月11日には、東京ドームで開催された復活コンサート「不死鳥 美空ひばり in TOKYO DOME ~翔ぶ!! 新しき空に向って~」で、「みだれ髪」と「塩屋崎」の両曲がフルコーラスで披露されました。

多様なバージョン

シングルは、EP、シングルCD、カセットテープなど、様々な形態で発売され、カラオケバージョンや、他の楽曲とのカップリングも存在します。1991年には「川の流れのように」と、1994年には「悲しい酒」と、2003年と2008年には「ひばりの佐渡情話」とカップリングされています。これらのバージョンを通して、多様な側面から「みだれ髪」を楽しむことができます。

アルバム「みだれ髪」

同名のアルバムには、「みだれ髪」の他に、「港町十三番地」「リンゴ追分」「柔」「ひとりぼっち」「ひばりの佐渡情話」「好きなのさ」「哀愁波止場」「津軽のふるさと」「塩屋崎」「昭和ながれ花」「悲しい酒」など、美空ひばりの代表曲が多数収録されています。このアルバムは、彼女の幅広い音楽性を堪能できる一枚です。

まとめ

「みだれ髪」は、美空ひばりの復帰作として、その歌唱力と表現力が最大限に発揮された一曲です。塩屋埼灯台を舞台にしたご当地ソングとしての魅力はもちろん、彼女の音楽に対する情熱や、歌詞に込められた想いなど、様々な角度から深く楽しめる楽曲です。カップリング曲やアルバムと合わせて聴くことで、「みだれ髪」の世界観をより深く理解することができるでしょう。

収録曲一覧

1987年〜1989年盤（EP、シングルCD）
みだれ髪
塩屋崎
1987年盤（カセットテープ）
A面
みだれ髪
みだれ髪（オリジナル・カラオケ）
B面
塩屋崎
塩屋崎（カラオケ）
1991/2/21盤
みだれ髪
川の流れのように
1991/7/1盤
みだれ髪
みだれ髪（カラオケ）
悲しき口笛
悲しき口笛（カラオケ）
1994年盤
1枚目
みだれ髪
みだれ髪（カラオケ）
悲しい酒
悲しい酒（カラオケ）
2枚目
柔
柔（カラオケ）
塩屋崎
塩屋崎（カラオケ）
2003年盤
みだれ髪
ひばりの佐渡情話
みだれ髪（カラオケ）
ひばりの佐渡情話（カラオケ）
2008年盤
みだれ髪
ひばりの佐渡情話
悲しい酒（セリフ入り）
みだれ髪（オリジナル・カラオケ）
ひばりの佐渡情話（オリジナル・カラオケ）
悲しい酒（オリジナル・カラオケ）

アルバム「みだれ髪」収録曲

みだれ髪
港町十三番地
リンゴ追分
柔
ひとりぼっち
ひばりの佐渡情話
好きなのさ
哀愁波止場
津軽のふるさと
塩屋崎
昭和ながれ花
* 悲しい酒

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