みなみのさんかく座

みなみのさんかく座（Triangulum Australe）

みなみのさんかく座は、現在の88星座の中でも特に新しい星座の一つです。16世紀末に成立し、北天のさんかく座と同じように特定の物体をモデルにしたものではありません。一般的にはさんかく座よりも少し小さいとされています。

主な天体

恒星

この星座を形成する主要な恒星には、α星、β星、γ星があります。

• - α星 (アトリア): α星の見かけの明るさは1.88等で、2等星に分類されています。この星はみなみのさんかく座の中で最も明るい恒星ですが、日本からは観察することができません。アトリアという名は、Alpha Triangulum Australeから取られました。
• - β星: 見かけの明るさは2.85等で、3等星に分類されています。
• - γ星: 明るさは2.89等で、こちらも3等星です。

星団・星雲・銀河

みなみのさんかく座の中には、散開星団のNGC 6025があります。この星団は太陽系から約2,500光年離れたところにあり、1751年から1752年にかけてニコラ＝ルイ・ド・ラカイユによって発見されました。双眼鏡で見ると、約30個の7等星が観測可能です。この星団はコールドウェルカタログで95番に選ばれ、アマチュア天文家にとっての観測対象として人気があります。

由来と歴史

みなみのさんかく座の起源は、1598年にオランダの天文学者ペトルス・プランシウスによって三角形の星座が描かれたことに始まります。これは、彼がオランダの航海士たちの観測記録を基に天球儀を作成した際のものであり、プランシウスとホンディウスが共にこの星座を描いたとされています。1603年にヨハン・バイエルの『ウラノメトリア』で再び注目され、広まることになりました。この星図の中で使用されていた「Triangulum Australe」という名称は、後に多くの天文学者によって使われるようになり、一般的になりました。

1756年にはニコラ＝ルイ・ド・ラカイユがフランス語で「南の三角」や「水準器」と名付け、測量・製図器具の一つとして位置付けられました。1922年の国際天文学連合（IAU）の設立総会では、正式な星座の一つとしてみなみのさんかく座が選定され、Triangulum Australeの名称が確立されました。そのため、この星座には神話や伝説は存在しません。

中国における位置付け

近代においてみなみのさんかく座は、中国の古代の天文学書には記載されず、三垣や二十八宿には含まれていませんでした。その星々が初めて記録されたのは明の時代で、1620年代にイエズス会の天文学者たちによって編纂された天文書『崇禎暦書』で言及されたのです。この際、南天の新しい星座として紹介され、後の清代にも受け入れられました。

日本における呼称

日本では明治末期に「南三角」という訳語が使用され、その後も継続的に用いられています。この呼称は、1925年出版の『理科年表』や1944年の天文学用語改定でも引き継がれました。1952年には学名が「みなみのさんかく」に改められ、現在もこの名称が用いられています。その後も、天文学の観点から「みなみさんかく」との表記もされるなど多様な呼称が存在し、現代の中国語でもこの星座は「南三角座」と呼ばれています。

以上、みなみのさんかく座に関する詳細な情報をお届けしました。この星座はその独特の経歴を有し、今もなお天文学の一部としての重要な位置を占めています。

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