みゆき族

みゆき族とは

みゆき族は、1964年頃に東京銀座のみゆき通り周辺に集まっていた若者たちのことを指します。彼らは従来の社会の規範にとらわれず、自由な思想や行動を体現していました。みゆき通りを拠点とした独自のファッションやストリートカルチャーは、当時の若者たちに大きな影響を与え、日本における若者文化の先駆けとなりました。

みゆき族のスタイル

男性は、アイビールックをカジュアルにアレンジしたスタイルが特徴でした。バミューダショーツや丈の短いコットンパンツに、VANやJUNの紙袋や頭陀袋を小脇に抱えている姿が多く見られました。一方、女性は白いブラウスにロングスカート、ローヒールの靴を合わせ、リボンベルトを後ろで結び、頭に三角に折ったスカーフやネッカチーフを巻くスタイルが一般的でした。男性同様に紙袋や頭陀袋を持ち、特に目的もなくみゆき通りを闊歩する姿は、当時の若者の象徴的な光景でした。

みゆき族の隆盛と終焉

1964年4月28日に創刊された週刊誌「平凡パンチ」は、アイビーファッションの認知度向上に貢献し、みゆき族のブームを後押ししました。地方からも多くの若者が集まり、同じ趣味を持つ仲間との交流や異性との出会いを求めていました。当時、銀座は若者文化の中心地であり、みゆき通りにはVANの大きな店舗があったため、若者たちはその周辺に集まり、グループでウィンドウショッピングを楽しんだり、通りを歩き回ったりしていました。

しかし、みゆき族はカミナリ族のような反社会的な行動を起こすことはありませんでしたが、週刊誌では彼らの「不純異性交遊」が報じられるようになりました。また、若者たちが店の前にたむろすることに対する地元商店主からの苦情や、1964年東京オリンピックに向けての風紀向上策として、警察による取り締まりが強化されました。その結果、1964年9月12日には一斉取り締まりが行われ、みゆき族は急速に姿を消しました。

アイビー族との関係

みゆき族と同時期に、アイビーファッションを着崩した若者たちも「アイビー族」と呼ばれていました。彼らは銀座にも出現し、みゆき族の後継とも見なされていました。みゆき族の特徴がフーテンバッグであったのに対し、アイビー族はインディア・マドラスのシャツや木綿のズボンを好んで着用していました。1964年には、「アイビーは不良であるという偏見をなくそう」と主張するVAN党が結成されましたが、アイビー族もまた警察の補導対象となり、姿を消すこととなりました。

その後

1965年にはエレキブームが起こり、銀座にもモンキーダンスが流行しましたが、そのブームも長くは続きませんでした。その後、若者文化の中心は原宿などの副都心に移り、銀座では1969年に登場した女性誌『ELLE』の影響を受けてエリートスタイルが流行しました。

みゆき族の文化的遺産

みゆき族は、日本の若者文化における重要な一例として、現在でも語り継がれています。彼らの自由な発想やファッションは、後の世代に大きな影響を与えました。みゆき族の存在は、社会の規範にとらわれず、自己を表現することの重要性を私たちに教えてくれます。

関連作品

みゆき族が登場する映画作品として、

ALWAYS 三丁目の夕日'64 (2012年) があります。

参考文献

難波功士「戦後ユース・サブカルチャーズについて(1):太陽族からみゆき族へ」（PDF）『関西学院大学社会学部紀要』第96巻、2004年3月、163-178頁
デーヴィッド・マークス『AMETORA(アメトラ) 日本がアメリカンスタイルを救った物語 日本人はどのようにメンズファッション文化を創造したのか?』DU BOOKS

関連項目

原宿族
* 原宿のファッション史#銀座から東京西部へ

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