めしはまだか!

めしはまだか! は、1974年の春から秋にかけてNET（現：テレビ朝日）系列の毎週土曜日午後8時枠で放送されたテレビドラマです。放送期間は1974年4月6日から同年9月28日まで、全26話が制作・放送されました。

このドラマの基となったのは、日本の文豪として知られる谷崎潤一郎の小説『台所太平記』です。この原作は谷崎の代表作の一つに数えられ、人間の機微を巧みに描いた作品として評価されています。小説は過去に豊田四郎監督によって映画化もされており、ドラマ版もその世界観をテレビで再現しようと試みました。

物語の中心となる家族やその周囲の人々を演じたのは、当時の日本のテレビドラマ界を代表する豪華な顔ぶれです。主演の千倉兵吉役には、歌舞伎俳優でありながらテレビでも活躍した十七代目中村勘三郎が配されました。彼の妻であるかおり役を司葉子が、娘の桃子役を波乃久里子が演じています。また、彼らの周りには、高島忠夫、三木のり平、野村昭子、関根恵子、宮本信子、坂本スミ子、中山麻里、結城美栄子、吉沢京子、皆川妙子といった実力派俳優や人気女優が顔を揃えました。さらに、堺正章、森光子、石立鉄男といった多彩なタレント・俳優も出演しており、それぞれの役柄でドラマに厚みを与えています。

制作陣には、原作の谷崎潤一郎が名を連ねるほか、脚本は松田暢子、平岩弓枝、才賀明らが担当しました。特に平岩弓枝は、後に同じ『台所太平記』を原作としたドラマも手掛けています。演出は柴田敏行らが務め、当時のNET（現テレビ朝日）が制作を担当しました。

特筆すべき点として、主演を務めた十七代目中村勘三郎は、本作に続いて1982年に読売テレビ制作の『木曜ゴールデンドラマ』枠で放送された、同じく『台所太平記』を原作とする単発ドラマ『台所太平記 〜おんな八人寄れば…』でも主演を務めています。奇しくも、この作品の脚本も本作を担当した平岩弓枝が手掛けており、中村勘三郎と平岩弓枝という組み合わせで二度にわたり谷崎作品が映像化されたことになります。

また、当時のネット局の一つであった青森テレビにとっては、この『めしはまだか!』がNET系列の土曜午後8時枠における最後の同時ネット番組となりました。番組終了後、青森テレビはこの時間帯のネット系列をTBS系列へと切り替え、以降は人気番組『8時だョ!全員集合』の同時ネットを開始することになります。

本作は、谷崎文学の人間ドラマを豪華キャストで映像化したNET土曜8時枠の作品として、当時の視聴者に親しまれました。番組の詳細なデータは、テレビドラマデータベースなどの資料で確認することができます。関連する項目としては、「テレビ朝日土曜8時枠の連続ドラマ」の歴史や、繰り返し映像化されてきた「台所太平記」という作品自体が挙げられます。

もう一度検索