りそなコエドテラス

りそなコエドテラス

りそなコエドテラスは、埼玉県川越市に位置する複合施設です。この場所は、インキュベーション施設やレストラン、様々な店舗が並ぶことによって地域交流の場となっています。建物自体は1918年に完成した洋風の銀行で、1996年には国の登録有形文化財として認定されています。

歴史的背景

この建物は、1878年に設立された第八十五国立銀行の基礎を持っています。当時、旧川越藩の御用商人が出資し、地域にとって初の銀行としてスタートしました。しかし、1893年の川越大火で旧本店が焼失し、1898年に民営の第八十五銀行として再出発を果たしました。1918年に現在の形が整い戦時下の1943年には他の銀行と合併して埼玉銀行となり、その後の業界再編で名称が数回変更されました。

2003年からは埼玉りそな銀行川越支店として営業を続けていましたが、建物の老朽化が進み、2020年6月に新しい位置に移転しました。移転後は、「蔵の街出張所」として旧ATMコーナーが残される形になりました。

りそなコエドテラスの新たな取り組み

支店の営業終了後、旧店舗をどう活用するかの検討が始まり、地域の産業創出や起業家育成、観光情報の発信を目指す施設への展開が決定しました。このコエドテラスは、ビジネスや商談の場、地域食材を使用したレストラン、地元特産品を販売する店舗などが設けられています。運営は埼玉りそな銀行の子会社「地域デザインラボさいたま」が担当しています。2024年の5月には改装を経て、新たにオープンする予定です。

施設内には、1階にカフェやジェラート屋さんが入り、旧金庫室がギャラリーとして利用されるほか、2階にはイタリアンレストランが設置されています。また、3階には約60席のワーキングスペースが整備され、多様な利用者に対応する環境が整えられています。

建築の魅力

りそなコエドテラスは、川越の重要伝統的建造物群の中に位置し、独特の洋風建築が魅力です。この建物は、辰野金吾に師事した保岡勝也氏によって設計されました。その外観はネオルネッサンス様式が特徴で、特に北西の八角形の塔屋には美しい青銅葺きのドーム屋根があります。また、外壁にはサラセンストーンのバットレスが配置されており、デザイン的な工夫が施されています。窓には手動の防火シャッターが備えられ、歴史的な大火を教訓にしていることが感じられます。この建物は日本で現存する鉄筋コンクリート構造の初期の作品でもあり、その文化的価値は非常に高いです。

文化財としての登録

1996年には、埼玉県内で初めて国の登録有形文化財として指定され、地域の歴史を象徴する重要な施設となっています。かなりの年数が経過していますが、その美しい姿や歴史的背景を守りながら、新しい展開へとつなげるこの場所の挑戦は、今後の地域活性化に貢献することでしょう。

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