わが恋は燃えぬ

映画『わが恋は燃えぬ』詳細解説

映画『わが恋は燃えぬ』は、1949年に公開された日本のドラマ映画です。配給は松竹。上映時間は84分、モノクロ、スタンダードサイズで制作されました。検閲認証番号は10159です。監督は溝口健二、酒井辰雄、岡田光雄が共同で務め、脚本は依田義賢と新藤兼人が担当しました。

概要

本作は、明治・大正時代に婦人解放運動の先駆者として活躍した影山英子（福田英子）の半生を基に描かれています。激動の時代の中で、女性の権利を求めて戦った彼女の情熱と苦悩を、重厚なドラマとして表現しています。主人公の平山英子を演じるのは、名女優・田中絹代。その卓越した演技力で、困難に立ち向かう女性の強さと脆さを繊細に演じきっています。

ストーリー

物語は、影山英子が女性解放運動に目覚め、社会の不平等や矛盾に立ち向かう姿を軸に展開します。彼女は、女性が置かれている過酷な状況を目の当たりにし、その改善のために奔走します。しかし、その道のりは決して平坦ではなく、様々な困難や葛藤に直面します。それでも彼女は、自身の信念を貫き、同じ志を持つ仲間たちと共に、運動を推し進めていきます。

キャスト

平山英子：田中絹代
千代：水戸光子
平野梅子：平野郁子
平野確：荒木忍（大映）
岸田俊子：三宅邦子（特別出演、新東宝）
重井憲太郎：菅井一郎（東宝）
稲垣大助：千田是也（俳優座）
井藤俊文：東野英治郎（俳優座）
作次郎：宇野健之助
早瀬竜三：小沢栄太郎（俳優座）
荒井樟雄：松本克平（俳優座）
製糸工場の監督：浜田寅彦（俳優座）
坂崎武：清水将夫（劇団民藝）
村田隆：宇野重吉（劇団民藝）
自由亭のおやじ：小堀誠
お政：沢村貞子
大迫貞道：富本民平
赤まん：村田宏壽（大映）
岡島清：永田光男
池田壽雄：青山宏
富井於蒐：忍美代子

豪華キャスト陣が、それぞれの役柄を力強く演じています。特に、田中絹代の迫真の演技は、観る者の心を揺さぶります。また、脇を固める実力派俳優たちの存在も、本作の深みを増す要因となっています。

スタッフ

監督：溝口健二、酒井辰雄、岡田光雄
脚本：依田義賢、新藤兼人
原案：野田高梧
製作：絲屋寿雄、島津清
撮影：杉山公平、梨木友太郎
美術：水谷浩、荒川大、大角純一
音楽：伊藤宣二
録音：高橋太郎、川北武夫
照明：寺田重雄、芳川実
風俗考証：甲斐荘楠音
装置：松野喜代春
装飾：山口末吉
編集・記録：坂根田鶴子
床山：井上力三
結髪：木村よし子
衣裳：中村つま
移動効果：小辻照三
普通写真：三浦専三
宣伝担当：藤井幸男
経理担当：藤岡正一
演技事務：保瀬英二郎
進行担当：久保友次
演奏：松竹京都管絃楽団


各分野の第一線で活躍するスタッフが集結し、映画の完成度を高めています。特に、溝口健二監督の演出は、主人公の心情を丁寧に描き出し、観る者を物語の世界へ引き込みます。また、音楽や美術、撮影など、それぞれの技術が高度に融合し、映画全体を芸術作品として昇華させています。

主題歌

津村謙(台詞:田中絹代)「わが恋は燃えぬ」
小夜宮孝子「愛の灯」

主題歌も作品のテーマを深く表現しており、物語を彩る重要な要素となっています。

映画が描くもの

『わが恋は燃えぬ』は、単なる時代劇としてだけでなく、現代社会にも通じる普遍的なテーマを描いています。女性の自立や権利、社会の不平等といった問題提起は、現代においても重要な意味を持ち続けています。映画を通して、私たちは過去の歴史から学び、より良い未来を築くためのヒントを得ることができるでしょう。

鑑賞のポイント

田中絹代の圧倒的な演技力に注目
明治・大正時代の社会背景を理解しながら観る
女性解放運動の先駆者たちの情熱と苦悩を感じる
映画全体を彩る音楽や美術にも注目

総括

『わが恋は燃えぬ』は、歴史に残る名作として、多くの人々に感動を与え続けています。まだご覧になっていない方は、ぜひ一度鑑賞してみてください。きっと、心に残る素晴らしい体験になるでしょう。

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