アイアン・ホース

『アイアン・ホース』：ジョン・フォード監督による西部劇の原点

『アイアン・ホース』（The Iron Horse）は、1924年に公開されたアメリカのサイレント映画です。フォックス映画が製作し、ジョン・フォードが監督を務めました。この作品は、フォード監督にとって、その後のキャリアを決定づける重要な節目となりました。彼は生涯にわたり西部劇というジャンルに取り組み、数々の名作を世に送り出しました。

映画の背景

当時のフォックス映画は、他社の西部劇の成功に刺激を受け、急遽本作の製作を決定しました。そのため、製作費は当初の予算を大幅に超過するほどでした。

2011年には、アメリカ議会図書館が本作を「文化的、歴史的、審美的に重要」な作品として、アメリカ国立フィルム登録簿に保存しました。これは、映画史における本作の重要性を示すものでしょう。

あらすじ

物語は、エイブラハム・リンカーンが大陸横断鉄道の構想を抱いていた時代から始まります。測量技師ブランドンは、リンカーンの構想に賛同し、息子デーヴィーと共に西部へと旅立ちます。デーヴィーと親しかった土建業者の娘ミリアムは、雪の中、涙ながらに二人を見送ります。

シャイアンに到着した父子は、険しい山道に線路を敷設するという夢を語り合いますが、シャイアン族の襲撃に遭い、ブランドンは2本指のコマンチ族の男によって殺害されます。デーヴィーは辛くも難を逃れます。

数年後、大陸横断鉄道の計画が本格的に始動します。東のオマハからはユニオン・パシフィック鉄道が、西のサンタモニカからはセントラル・パシフィック鉄道がそれぞれ線路を延長し、接続を目指します。ユニオン・パシフィックの鉄道敷設を請け負うのは、成長したミリアムの父親マーシュ。その下で働く技師ジェッソンは、ミリアムの婚約者でもありました。

工事はインディアンの襲撃などで難航します。マーシュは近道となるコースの検討をジェッソンに依頼しますが、それを聞きつけた地主デローは、自分の土地を通すことで利益を得ようと、酒場の女ルビーを使ってジェッソンを誘惑し、仲間に引き入れます。

ミリアムはインディアンの襲撃に巻き込まれますが、ポニー・エクスプレスの青年（成長したデーヴィー）に助けられます。デーヴィーは、父と共に発見した険しい山道こそが近道に適しているとマーシュに教えます。マーシュは確認のためジェッソンを同行させますが、ジェッソンはデローの指示でデーヴィーの命綱を切断します。

奇跡的に一命を取り留めたデーヴィーは、デローが集めた用心棒に襲われますが、アイルランド系労働者に救われます。ミリアムとの約束で、デーヴィーはジェッソンと仲直りの握手をしようとしますが、ジェッソンは拒否し、デーヴィーを撃とうとします。デーヴィーはジェッソンとの殴り合いに勝利しますが、ミリアムには約束を破ったと罵られます。

2本指のコマンチ族の男（実はデロー）は、シャイアン族に総攻撃を提案します。デーヴィー、ミリアム、鉄道人夫、そして酒場の女たちも協力して抗戦します。戦いの中、デーヴィーは父の仇であるデローを発見し、死闘の末に彼を倒します。

デーヴィーはミリアムと別れ、セントラル・パシフィックの鉄道人夫となり、線路を延ばします。そして1869年、大陸横断鉄道がついに繋がり、デーヴィーはミリアムと再会を果たします。

キャスト

デーヴィー・ブランドン：ジョージ・オブライエン
ミリアム・マーシュ：マッジ・ベラミー
エイブラハム・リンカーン：チャールズ・エドワード・ブル
ピーター・ジェッソン：シリル・チャドウィック
* トーマス・マーシュ：ウィル・ウォーリング

映画の意義

『アイアン・ホース』は、大陸横断鉄道の建設というアメリカの歴史的な出来事を背景に、人々の愛と復讐、そして開拓精神を描いた壮大な作品です。ジョン・フォード監督の西部劇の原点として、映画史にその名を刻んでいます。

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