アイギョクシ

愛玉子（アイギョクシ）とは

アイギョクシ、または愛玉子（学名：Ficus pumila var. awkeotsang）は、クワ科のイチジク属に属するつる性植物です。主に台湾で自生しており、特に北部の山間地域で見られます。この植物の果実は、特異な特性を持つゼリー状デザート「オーギョーチ」として知られています。

名の由来

愛玉子という名前の由来は、『台湾通史』の農業志に見ることができます。この文献によれば、果実を水の中で揉みほぐすことで固まる様子を発見した人が、自身の愛娘の名前「愛玉」にちなんで名付けたとされています。このような名字には、台湾の文化と歴史が色濃く反映されています。

植物学的特徴

愛玉子は日本を含む東アジアに分布するオオイタビ（F. pumila L.）の一変種です。イチジク属の植物と同じく、花嚢と呼ばれる结构の内部で花を咲かせます。愛玉子は雌雄異株であり、雌株の花嚢内に生育する雌花は、特定のイチジクコバチによって受粉されます。その結果、多くの微細な果実が含まれた花嚢が形成されます。

一方で、愛玉子の果実はイチジクとは異なり、果嚢が堅くなり、熟すと裂けて内部にはペクチンを多く含むジャム状の物質ができます。これが特徴的な甘みを持っており、種子を含んだ果実の塊が露出します。この状態では、果実自体が甘く、直接食べることも可能です。果嚢から取り出した微細な果実の種子を乾燥し、「愛玉冰」の材料として利用されます。

愛玉子ゼリー「オーギョーチ」

愛玉子の最大の魅力は、その果実がペクチンを豊富に含んでいるため、加熱せずに固まることです。常温でも簡単にゼリーを作ることができるので、多くの家庭で親しまれています。乾燥した種子を布袋に入れ、水中で5～10分程度揉むと、ペクチン質が溶け出し、弾力性のあるゲル状に膨らみます。これを数時間放置することで、寒天のような愛玉子ゼリー（オーギョーチ）が完成します。

なお、使用する水に適度なカルシウムが含まれていない場合、正しく固まらないため、軟水や蒸留水では効果がない点には注意が必要です。愛玉子ゼリーは、味そのものはほとんど無味ですが、レモン風味やその他のシロップを加えることで、様々な味わいに変えることが可能です。

台湾では、愛玉子ゼリーは夏の風物詩として親しまれ、屋台やデザート店、レストランなど、様々な場所で楽しむことができます。亀ゼリーや仙草ゼリーと並ぶ、三大ゼリーの一つとしても知られています。最近では、タピオカティーを提供するドリンクスタンドでも、愛玉子ゼリーが入った飲み物が人気を博しています。

戦前の日本の浅草でも愛玉子が販売されており、現在でもカフェやレストランで提供され、専門店も存在します。このように愛玉子は台湾の食文化の一部として、幅広く受け入れられています。

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