アイスランドの世界遺産

アイスランドの世界遺産

アイスランドの世界遺産は、ユネスコの世界遺産条約に基づき、アイスランド国内の重要な文化遺産と自然遺産を指します。1995年に同条約を批准し、世界遺産への登録が可能となりました。

2020年現在、アイスランドには3件の世界遺産が登録されています。最初の登録地は2004年に指定されたシンクヴェトリル国立公園で、その後、2008年にスルツェイ島、2019年にヴァトナヨークトル国立公園が登録されました。シンクヴェトリル国立公園は文化遺産、スルツェイ島とヴァトナヨークトル国立公園は自然遺産として登録されています。

文化遺産

シンクヴェトリル国立公園

国内西部の活火山帯に位置するシンクヴェトリル国立公園は、大規模な地殻変動が特徴的な地域です。930年から1798年まで、アイスランド全土を代表する野外集会「オルシング」が毎年2週間開催され、紛争解決や法律制定が行われました。オルシングは世界最古の議会として現在も存続しており、公園内には芝と石で造られた当時の設備の遺構が約50箇所、そして地下には10世紀の遺跡が埋まっています。

自然遺産

スルツェイ島

1963年から1967年にかけて噴火活動が続いた火山島、スルツェイ島は、アイスランド南海岸から約32km沖合に位置します。1964年以降、島外由来の遺伝子頻度の個体群を研究する調査が行われており、人の立ち入りが厳しく制限されているため、島が形成されて以来、環境がほとんど撹乱されていません。創始者効果の研究において貴重な場所となっています。

ヴァトナヨークトル国立公園

ヨーロッパで2番目に規模の大きい氷帽を持つヴァトナヨークトル国立公園は、「炎と氷のダイナミックな自然景観」として知られています。地域内には複数の火山があり、そのうち2つはアイスランドで最も活発な火山活動を示しています。氷河と火山の接点では、氷河の洪水「ヨーコショプ」と呼ばれる現象が発生します。これは氷河の周縁部での噴火、特に氷底噴火によって引き起こされる突発的な洪水です。

複合遺産

現在、アイスランドには複合遺産に指定されている世界遺産はありません。

暫定リスト

アイスランドは、将来の世界遺産登録候補として、6件の場所を暫定リストに掲載しています。

ブレイザフィヨルズル自然保護区: アイスランド西海岸の浅いブレイザフィヨルズル湾は、多くの島々や岩礁があり、コクガンやコオバシギなどの鳥類の重要な繁殖地となっています。この地域は、アイスランドに人が住み始めた頃から続く居住地であり、地域社会は環境と共存する土地利用を続けてきました。
ミーヴァトン湖とラクサ川: ミーヴァトン湖とラクサ川沿いの豊かな緑は、周辺の火山性地形と対照的です。浅く栄養豊富なミーヴァトン湖は、水生昆虫が豊富で、多くの水鳥を支えています。15種以上のガンカモ類の繁殖地でもあります。
ヴァイキングの記憶と遺構 / シンクヴェトリル国立公園: 6ヵ国9ヵ所の登録地を一括でリストにあげたうちの一つ。ヴァイキング時代の顕著な例として記載されています。シンクヴェトリル国立公園は既に個別に世界遺産に指定されています。
シンクヴェトリル国立公園: すでに文化遺産として登録済みの地域について、自然の要素を推薦するものです。地殻変動、火山活動、氷河の形成が見られ、種の多様性においても貴重な地域です。
芝土の伝統的な家: アイスランドの伝統的な芝土の家（ターフハウス）は、初期の入植者によって持ち込まれたもので、ロングハウスにその起源を見ることができます。木組みの構造物の外壁を芝土で覆ったもので、時代や地域、人々のニーズに合わせて、外形や用途が変化してきました。
トルヴァヨークトル火山群／フャラバック自然保護区: トルヴァヨークトル火山群には、流紋岩質の成層火山と氷底火山が含まれています。火山と氷河の相互作用による岩石形成の研究にとって重要な地域で、温泉や噴気孔、酸性の水たまりなど、多様な地質学的特徴が見られます。また、好熱性の細菌や古細菌なども生息しています。

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