アイノ・アールト

アイノ・アールト（Aino Aalto, 1894年1月25日 - 1949年1月13日）は、フィンランドを代表する建築家、インテリアデザイナーです。旧姓はマンデリン(Mandelin)。「アールト」は「アアルト」とも表記されます。

生い立ちと教育

1894年、アイノはヘルシンキで生まれました。父親は鉄道会社に勤務しており、両親ともにハメ地域出身です。幼少期はルオホラハデンカトゥのアパートで過ごしました。ヘルシンキ・フィンランド女子学校で学んだ後、1913年にヘルシンキ工科大学の建築学科に入学。在学中に、後に夫となるアルヴァ・アールトと出会いました。

キャリア初期

1919年、アイノは建築家ベント・シャリンの事務所でインターンとして庭園デザインなどを担当しました。同年夏には、ツムストッケン協会にも参加。ツムストッケンはスウェーデン語で「折りたたみ定規」を意味します。1920年に大学を卒業後、建築家オイヴァ・カッリオの事務所に勤務。1923年にはユヴァスキュラに移り、建築家グンナール・A・ワハルロースの事務所で働きました。

アルヴァ・アールトとの結婚と共同制作

1924年冬、アイノはアルヴァ・アールト建築家事務所にアシスタントとして入所し、同年10月6日にアルヴァと結婚しました。1925年には娘が、1928年には息子が誕生。1927年には一家でトゥルクへ移住しています。

デザイン活動とアルテック社

1930年代初頭、アイノは胸部に悪性腫瘍が見つかり、1931年に手術を受けました。1932年、カルフラ＝イッタラ・ガラス器製造主催のデザインコンペティションで、ガラス器「ボルゲブリック」シリーズが2等入賞を果たします。1933年には、ミラノ・トリエンナーレでパイミオのサナトリウムの家具が国際的に評価され、同年ヘルシンキへ戻りました。

1935年、アイノはアルヴァらと共に、家具の製造・販売を行うアルテック社を設立。1936年のミラノ・トリエンナーレでは、フィンランド館の会場構成でグランプリを受賞したほか、ボルゲブリック・シリーズのデザインでゴールドメダルを獲得。このシリーズは後に「アイノ・アールト」シリーズとして知られるようになりました。

その後

1941年、アイノはアルテック社の経営者となりました。1946年に癌と診断されながらも仕事を続け、1948年にはアルヴァと共にイタリアを訪問。しかし、同年病状が悪化し、1949年1月13日に自宅で息を引き取りました。

主な作品

アイノが関与したとされる主な作品は以下の通りです。

ヴィラ・フローラ（1926年）
ポイティア教区教会（1930年）
ボルゲブリック・シリーズ（1932年）
ノールマルク子供福祉健康センター（1945年）
夏の家、ヘイノラ（1948年）

アイノ・アールトは、建築家としてだけでなく、デザイナーとしてもその才能を発揮し、フィンランドデザインの発展に大きく貢献しました。彼女のデザインは、機能性と美しさを兼ね備え、現在でも多くの人々に愛されています。

参考文献

ウッラ・キンヌネン編『AINO AALTO』TOTO出版、2016年7月。ISBN 978-4-88706-359-4。
和田菜穂子（編）『アルヴァ・アアルト もうひとつの自然』国書刊行会、2018年10月。ISBN 978-4-336-06289-5。

外部リンク

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