ハメ

ハメ州：フィンランド中部の歴史と自然

ハメ州（フィンランド語: Häme、スウェーデン語: Tavastland、英語: Tavastia）は、フィンランド南部内陸に位置する伝統州です。タヴァスティア州とも呼ばれ、現在の中央スオミ県、パイヤト＝ハメ県、カンタ＝ハメ県、キュメンラークソ県などにまたがる広大な地域を包含します。ピルカンマー県、南西スオミ県、南サヴォ県、北サヴォ県の一部もかつてはハメ州に属していました。

歴史：中世から近代へ

ハメ州の歴史は古く、スウェーデンとの関わりが深いことが特徴です。1239年もしくは1249年、第2回スウェーデン十字軍の終結とともにスウェーデンの領土となり、1260年頃にはビルエル・ヤールによってハメ城が築かれました。ハメ城はトゥルク城、ヴィープリ城とともに、スウェーデン支配下の重要な拠点として機能しました。1323年のノーテボリ条約後、東側からの防衛力は低下しましたが、行政の中心地としての役割は継続されました。1809年、フィンランドがロシア帝国に割譲されると、ハメ州もロシアの支配下に入りました。現在では行政上の機能は失われていますが、スウェーデンとロシア両国の歴史的遺産が数多く残されています。

ハメ州には石器時代から人が居住しており、北部は主にサーミ人の狩猟採集民、フィン人の猟師が生活していました。中世後期以降、北部地域でも徐々に農業が導入され始めました。19世紀には林業が発展し、地域経済を大きく支えるようになりました。ネシ湖とVanajavesiを結ぶ水路の開通は木材輸送を効率化し、MänttäやValkeakoskiなどの製紙業の中心地の発展を促しました。また、19世紀初頭にタンペレに大規模な織物工場や金属工場が建設されたことで、タンペレはハメ州最大の工業都市へと成長しました。

地理：湖と河川に囲まれた土地

ハメ州の西部はKokemäenjoki川流域に沿って広がり、東部はパイエンネ湖周辺に広がっています。南部の境界はSalpausselkä尾根に沿っており、南部は田畑と森林が混在する平野、北部は丘陵地帯となっています。北上するにつれて標高が高まり、森林や荒地が増加し、農地は減少していきます。ハメ州の北部境界は、行政区域の変更に伴い、比較的近年になって確定されました。それ以前は境界線が曖昧でした。これはピルカンマー県の北西部境界にも当てはまります。

古くからの集落は、水路、特に大きな湖の周辺の平野部に集中しています。湖沼は水運に利用されてきましたが、キュミ川やKokemäenjoki川などの急流は海への航行を妨げていました。ネシ湖は複数の航行可能な水域を結び、タンペレから北へ100kmまで船で行くことができました。また、Pyhäjärvi、Vanajavesi、Roineは19世紀に運河で接続されました。パイエンネ湖はラハティからユヴァスキュラまでを結ぶ重要な水路となっています。

行政区分：歴史と現在

1997年10月までは、ハメ州は西スオミ州と南スオミ州に分割されていました。しかし、2010年1月1日にフィンランドの全州が廃止されたため、現在のハメ州は行政上の単位ではなく、歴史的・地理的な概念として認識されています。現在、ハメ州の地域は中央スオミ県、パイヤト＝ハメ県、カンタ＝ハメ県、キュメンラークソ県、および周辺県の一部にまたがっています。

まとめ

ハメ州は、豊かな歴史と自然に恵まれたフィンランドを代表する伝統州です。中世からの歴史的変遷、多様な産業、そして美しい湖沼群など、多くの魅力を備えています。地理的特徴と歴史的背景が深く結びついたこの地域は、フィンランドの歴史と文化を理解する上で重要な役割を担っています。

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