オールドフレンズ

オールドフレンズ：引退競走馬の安らぎの場所

オールドフレンズ（Old Friends Equine）は、アメリカ合衆国で活動する動物福祉に特化した非営利団体です。主に、輝かしい競走生活を終えたサラブレッドなどの競走馬や繁殖馬を保護し、余生を穏やかに過ごせるようサポートしています。アメリカ国内の多くの功労馬繋養施設の中でも、特に引退した種牡馬を定期的に受け入れている唯一の施設として知られています。

設立と理念

元ジャーナリストであるマイケル・ブローウェン氏が2003年にオールドフレンズを設立しました。きっかけは、2002年に日本で功労馬である種牡馬ファーディナンドが屠殺されたという報道でした。この事件に衝撃を受けたブローウェン氏は、アメリカで引退競走馬が尊厳を持って余生を過ごせる環境を作ることを決意し、オールドフレンズを創設しました。

当初はケンタッキー州レキシントンのジョージタウンで、借り受けた土地に馬一頭と厩舎一つという小さな規模でスタートしました。しかし、オールドフレンズは着実に規模を拡大し、2018年までに175頭以上の引退馬を受け入れるまでに成長しました。その中には、日本で種牡馬として活躍した後、オールドフレンズに引き取られた馬も多くいます。サンシャインフォーエヴァーやオジジアンなどがその代表例です。

分場と業界への貢献

オールドフレンズは、ケンタッキー州レキシントン本場の他に、複数の分場を運営しています。2009年にはニューヨーク州グリーンフィールドに「オールドフレンズ・アット・キャビンクリーク」を開設し、故ボビー・フランケル調教師に敬意を表して「ボビー・フランケル分場」と名付けました。2015年にはケンタッキーダウンズ競馬場と提携し、同競馬場内に新たな分場を開設。この提携を機に、ケンタッキーダウンズでは「オールドフレンズステークス」も創設されるなど、オールドフレンズはサラブレッド産業全体に大きな影響を与えています。

2015年には、サラブレッド産業への貢献が認められ、オールドフレンズはエクリプス賞特別賞を受賞しました。この賞は、サラブレッド業界における最も権威ある賞の一つであり、オールドフレンズの活動が広く認められた証と言えます。

繋養馬たち

オールドフレンズには、数々のG1競走を制した名馬から、ステークス競走未勝利馬、さらには100戦全敗という異例の記録を持つジッピーチッピーまで、様々な経歴を持つ馬たちが暮らしています。

主な繋養馬（一部）

シルバーチャーム（1997年アメリカ二冠馬）
ゲームオンドゥード（サンタアニタハンデキャップ3連覇など）
リトルマイク（2012年BCターフ優勝馬）
レイルトリップ（2009年ハリウッドゴールドカップ優勝馬）
ラピッドレダックス（2012年北米記録となる22連勝）
バードストーン（2004年ベルモントステークス、トラヴァーズステークス優勝馬）
ワイズダン（G1競走11勝、2012・2013年エクリプス賞年度代表馬）
エーシンフォワード（2010年マイルチャンピオンシップ優勝馬）
アイルハヴアナザー（2012年アメリカ二冠馬）
ビッグブラウン（2008年アメリカ二冠馬）

過去の繋養馬（一部）

ウォーエンブレム（2002年アメリカ二冠馬）
オジジアン（1985年フューチュリティステークス優勝馬）
カリズマティック（1999年アメリカ二冠馬）
クリエイター（1990年ガネー賞優勝馬）
サンシャインフォーエヴァー（1988年バドワイザーインターナショナル優勝馬）
ブラックタイアフェアー（1991年BCクラシック優勝馬）
* ジッピーチッピー（100戦全敗の馬）

オールドフレンズは、競走馬たちの引退後の生活を支えるだけでなく、サラブレッド産業全体に貢献する重要な役割を担っています。彼らの活動は、競走馬に対する理解と敬意を深める上で大きな意義を持っています。

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