アウグスト・コンラーディ (中国学者)

アウグスト・コンラーディ（August Conrady, 1864年4月28日 - 1925年6月4日）は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したドイツの言語学者、中国学者です。

生涯

1864年、コンラーディはドイツのヴィースバーデンで生まれました。彼は、インド学、サンスクリット語、比較言語学を学び、これらの分野で深い知識を身につけました。1886年には、ヴュルツブルク大学から博士号を授与されています。その後、1891年よりライプツィヒ大学でインド・東アジアの言語の私講師として教鞭を執り始めました。この頃から、彼の研究の中心は中国研究へと ধীরে ধীরেと移っていきました。
1897年に準教授に昇進し、研究者としての地位を確立しました。さらに、1920年には教授に昇進し、ライプツィヒ大学における中国研究の重要な担い手となりました。しかし、コンラーディは生前、自身の研究成果をまとめた著作をあまり公刊しませんでした。彼の死後、大量の遺稿が発見され、教え子であったブルーノ・シンドラーによって、1926年の学術雑誌『Asia Major』にその一覧が掲載されました。
コンラーディは教育者としても優れており、多くの学者を育成しました。著名な中国文学者である林語堂もその一人で、コンラーディの指導のもとで博士論文を執筆しています。

研究内容・業績

コンラーディの最も重要な業績として知られているのは、1896年に発表された『インドシナ語族（=シナ・チベット語族）の使役形・名詞形の形成と声調の関係』です。この研究において、コンラーディは中国語の声母（音節の最初の子音）における無声と有声の区別が、文法的な機能を持つことに着目しました。彼は、この現象が元々はチベット語の文語に見られるような s- 接頭辞に由来すると推測しました。この理論は、シナ・チベット語族の歴史的言語学研究に大きな影響を与えました。

また、コンラーディは探検家スヴェン・ヘディンが楼蘭で発見した古代文書の解読にも携わりました。これらの文書は、中央アジアの古代史を解明する上で非常に貴重な資料であり、コンラーディの解読結果は、1920年に出版されました。

コンラーディは、その生涯において、インド・ヨーロッパ語族の比較研究から中国研究へと研究の中心を移し、シナ・チベット語族の研究に多大な貢献をしました。彼の研究は、現代の中国語学、チベット語学、比較言語学の研究においても重要な基礎となっています。

外部リンク

August Conrady (1864-1925) - Universität Leipzig （ドイツ語）
Conrady, August - Neue Deutsche Biographie （ドイツ語）
Nécrologie. August CONRADY - T'oung Pao （フランス語）
Sinological Profiles: August Conrady - University of Massachusetts Amherst （英語）

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