アウトストラーダ A11

アウトストラーダ A11 (フィレンツェ-マーレ)

アウトストラーダ A11、通称フィレンツェ-マーレは、イタリアの主要な高速道路網の一部であり、トスカーナ州を横断する重要な幹線道路です。ファシズム時代に建設されたこの道路は、イタリアにおけるアウトストラーダの歴史の中で比較的初期に位置づけられます。

概要

フィレンツェとティレニア海沿岸を結ぶA11は、トスカーナ州内で最も交通量の多い道路の一つです。プラート、ピストイアといった人口密集地域や、ヴァルディニエヴォーレ、ルッカ平野といった地域を通過し、全長81.7kmに及びます。また、ジェノヴァ方面のアウトストラーダ A12への接続路も備えており、地域間の連携を強化しています。

歴史

A11の建設は1928年から1932年にかけて、EAT（トスカーナ活動庁）の主導によって行われました。このプロジェクトは、当時の主要な政治家や技術者によって推進され、地域道路網の改善と、フィレンツェ、モンテカティーニ・テルメ、ヴェルシリア海岸といった観光地へのアクセス向上を目指しました。

建設はトスカーナ高速道路会社によって行われ、起業家のサヴェリオ・パリージとピエロ・プリチェッリが担当しました。しかし、建設プロセスは順調に進んだわけではなく、不正行為や地権者との衝突、計画の変更など、多くの課題に直面しました。特にプラートでは、この道路が市の南部の発展を阻害するという批判や、小麦の戦いに貢献する土地が道路建設に使われることへの不満が地元住民から噴出しました。

1933年8月5日に全線が開通しましたが、当時は上下線が分離されていない道路でした。1961年から1962年にかけて上下線分離工事が行われ、現在の形に近いものとなりました。また、プラートやルッカ付近では、道路の経路変更が行われています。

開通当初、料金所はフィレンツェ、プラート、ピストイア、モンスンマーノ・テルメ、モンテカティーニ・テルメ、キエジーナ・ウッツァネーゼ、アルトパショ、ルッカ、ミリアリーノ・ピサーノに設置されました。しかし、当時はまだモータリゼーションが弱く、通行料金も高かったため、利用状況は必ずしも良好とは言えませんでした。そのため、道路管理会社の収支が悪化し、ドゥーチェによる介入が必要となったほどです。

革新的なインフラ

それでもなお、アウトストラーダ・フィレンツェ-マーレは、アペニン山脈南部の開発された盆地を接続する、当時としては革新的なインフラでした。この道路の完成により、ルッカはトスカーナに属していなかった時代から、主要な経路がフィレンツェ-エンポリ-ポンテデーラ-ピサ-リヴォルノルートから変化しました。第二次世界大戦後には、ヴェルシリア海岸の観光業発展に大きく貢献しました。

A11/A12接続路

A11とA12を結ぶ18kmの接続路は1973年に開通し、フィレンツェとジェノヴァ間の移動時間を短縮することに貢献しています。2007年には、この接続路とアウトストラーダ A12をヴィアレッジョ料金所を通らずに接続する新たなランプが開設されました。

現在と将来

現在、A11はASTMグループのリグーレ・トスカーナ高速道路会社によって管理されています。フィレンツェ・ペレートラからピストイア料金所までの区間の3車線化や、カンピ・ビゼンツィオ出入口の建設など、将来的な整備計画も議論されています。

歴史的エピソード

A11は、1935年6月15日にタツィオ・ヌヴォラーリが世界記録に挑戦した場所としても知られています。アルトパシオ付近の直線区間において、彼はアルファ・ロメオ16Cビモトーレを使用して、1km区間で平均速度321.420km/h、1マイル区間で平均速度323.125km/hという二つの世界記録を樹立しました。

その他の出来事

A11の建設中、ルッカ近くに位置するノットリーニ水道橋の一部が、道路を通すために破壊されました。60年代の拡張工事でさらに5つのアーチが倒され、水道橋は完全に分断されました。

まとめ

アウトストラーダA11（フィレンツェ-マーレ）は、その歴史的な背景、地域社会への影響、革新的な技術、そして世界記録の舞台となったという点で、非常に重要な高速道路です。現在もトスカーナ地方の交通網において重要な役割を果たしています。

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