アカコッコ

アカコッコ（島赤腹）

アカコッコ（学名：Turdus celaenops）は、スズメ目ツグミ科に属する日本固有の鳥類です。その名の通り、伊豆諸島やトカラ列島といった限られた地域にのみ生息しています。

分布

アカコッコは、日本固有種であり、具体的には伊豆諸島（鳥島を除く）とトカラ列島に分布しています。1980年代には伊豆大島での繁殖も確認されました。冬季には、一部の個体が大島や伊豆半島へ北上することが知られています。

英名は伊豆諸島に分布することに由来しています。

形態

全長は約23cm。胸部から腹部にかけて鮮やかな赤褐色をしているのが特徴です。目の周りには黄色いアイリングがあり、可愛らしい印象を与えます。

オスの特徴は、頭部から後頸、喉にかけてが黒色であることです。一方、メスは全体的にオスよりも色が淡く、喉が白いのが特徴です。また、眉斑がはっきりしている個体とそうでない個体が存在します。

生態

アカコッコは、常緑広葉樹林や落葉広葉樹林に生息し、特に常緑樹の自然林で低木が点在するような環境を好みます。平地から山地の森林、農耕地、林縁など、多様な環境で見られます。

食性は雑食性で、昆虫、ミミズ、陸生貝類、タブノキやハチジョウグワなどの果実などを食べます。地上を跳ね回っては立ち止まる動作を繰り返し、地中や落ち葉の下に潜む獲物を探します。雛には主にミミズを与えますが、昆虫や多足類、果実なども与えます。

繁殖期は4月から7月で、植物の根やコケなどを使ってお椀状の巣を作ります。一度に2〜5個（主に3〜4個）の卵を産み、雌雄共同で抱卵・育雛を行います。

人間との関係

アカコッコは、森林伐採や道路建設による生息地の破壊、人為的に移入されたニホンイタチによる捕食などにより、生息数を減らしています。2000年の三宅島の雄山噴火では、森林の約60%が消失または影響を受けました。かつては屋久島にも分布していましたが、近年は確認されていません。

日本では1975年に国の天然記念物に指定され、2020年には国内希少野生動植物種に指定されました。これにより、卵を含め、原則として捕獲や譲渡が禁止されています。三宅村では、村立の自然観察施設に日本野鳥の会のレンジャーを常駐させるなど、啓蒙活動に力を入れています。2010年からは三宅村と協力した日本野鳥の会による保護事業が開始され、生態調査やGPS発信機を装着した個体の放鳥調査などが行われています。

三宅島における生息数は、2009年には4,400羽、2015年には7,800羽と推定されています。

保全状況

アカコッコは、環境省レッドリストにおいて絶滅危惧IB類 (EN) に指定されています。

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