アカリコビトザメ

アカリコビトザメ (Euprotomicroides zantedeschia)

アカリコビトザメは、ヨロイザメ科に分類される深海の小型サメで、独特の生態と形態を持つことで知られています。このサメは、胸鰭がパドル状であることと、腹面に青い生物発光液を放出する袋状器官を持つことが特徴です。これまでに、大西洋南部と太平洋南東部の深海で4個体が確認されていますが、その生態学的特性については詳細がわかっていません。現在、国際自然保護連合（IUCN）はこの種を軽度懸念として評価しています。

分類

アカリコビトザメの最初の標本は1963年に、南アフリカのケープタウンでトロール船「Arum」により採集されました。初めはナガハナコビトザメとして認識されていましたが、新種としての認定以降はEuprotomicroides属に分類されています。この属名は、オキコビトザメに似た形態を反映しており、種小名であるzantedeschiaは、採集地点に由来しています。このサメは、歯列に基づく系統解析の結果から、ヨロイザメ科の中でも最も基底に位置する種であることが明らかにされています。化石記録は乏しいものの、暁新世前期に進化したと考えられています。

分布

アカリコビトザメの記録は、南アフリカでの深度460から640メートル、ブラジル沖の公海での深度約200メートル、チリのファン・フェルナンデス諸島近辺での海域から得られています。これらの観察から、主に外洋域に生息していると推測されますが、実際に海底に隣接して生活しているのか、あるいは中層を漂っているのかは不明です。

形態

このサメの体は側扁しており、長い鼻先と大きな楕円形の眼を特徴としています。大きな口を持ち、上顎には29、下顎には34の歯列が存在します。上顎の歯は小さく針状で、下顎の歯は大きく三角形をしています。胸鰭は大きく広がり、パドル状になっていますが、腹鰭は小さく、第二背鰭に対をなす形で存在します。尾鰭は長い上葉を持ち、下葉には明瞭な切れ込みがあります。体の背面は暗褐色、腹面は黒色であり、鰭の縁は明色です。また、体には小さな発光器が分散していることも特徴的です。これまでに確認されたアカリコビトザメの個体は、サイズが17.6cmから41.6cmと幅があります。

生態

アカリコビトザメは、筋肉質で葉状の胸鰭を使って泳ぐことができ、比較的大型の獲物を捕らえる能力を備えています。体の前方には皮歯を欠いた袋状の構造があり、内部には多数の乳頭状突起が詰まっています。この袋の入口は、皮褶に囲まれたスリットで、青く輝く液体を放出する機構があると考えられています。また、アカリコビトザメは他のヨロイザメ類と同様に無胎盤性胎生であるとされており、繁殖方法についての詳しい研究は今後の課題とされています。

人との関わり

アカリコビトザメはその小型口と生息域から通常の漁業によって捕獲されることが少なく、IUCNによってその保全状況はまだ情報不足とされています。これにより、さらなる研究と保護が求められる重要な海洋生物となっています。

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