アキアミ

アキアミ（秋醤蝦）とは

アキアミ（学名: Acetes japonicus）は、サクラエビ科に分類される小型のエビの一種です。標準和名に「アミ」とつきますが、アミ目やオキアミ目ではなく、エビ目に属します。

特徴

大きさ: 雄は11-24mm、雌は15-30mm。
体色: 生きている時はほぼ透明で、尾扇に赤い斑点が2つあります。死ぬと濁ったピンク色になります。
触覚: 第2触角は体長の約2倍もあり、根元から1/4くらいの所で折れ曲がります。
歩脚: 5対ある歩脚のうち、第4・第5歩脚が退化し、残り3対は鋏脚です。アミ類やオキアミ類の歩脚は鋏脚ではないため、この点で区別できます。

分布

インド南部、ベトナム、中国、黄海、日本の沿岸域に分布しています。日本国内では秋田県以南に生息し、富山湾、三河湾、瀬戸内海、中海、有明海などの内湾が主な産地として知られています。

生態

内湾の河口付近を大群で遊泳するプランクトンで、他のプランクトンやデトリタスを食べています。天敵は魚類や鳥類などです。生息地では個体数が多く、食物連鎖において重要な役割を果たしています。

生活史

産卵期は5月から10月で、メスは交尾後に680-6800個の受精卵を海中に放出します。オスは交尾後に、メスは産卵後に死んでしまいます。受精卵は直径0.25mmほどで緑色をしており、数時間で孵化します。孵化した後は、ノープリウス、前ゾエア、ゾエア、ミシスといった段階を経て成長します。

アキアミには、「越冬世代」と「夏世代」の2つの世代があります。

越冬世代: 9-10ヶ月ほど生存し、越冬します。5-7月に産卵します。
夏世代: 2-3ヶ月で一生を終えます。7-10月に産卵し、早ければもう一代夏世代を生み、秋に越冬世代を産卵することもあります。水温が下がると休眠し、春に成長して産卵します。

利用

漁獲

1980年代頃から漁獲量が増加し、2000年代には全世界で年間60万トン程度が漁獲されました。最盛期は8月から10月頃で、曳き網などで漁獲されます。

食用

塩辛、佃煮、干物、掻き揚げなどにして食べられます。特に塩辛は産地周辺でよく流通し、朝鮮半島ではキムチの風味付けに欠かせない材料です。かつては岡山県の児島湾が一大産地で、「備前の漬アミ」として有名でしたが、児島湾の干拓により漁場が消滅し、衰退しました。

その他

釣り餌や養殖魚の飼料としても利用されます。商品名としては「アミエビ」という名前で販売されており、冷凍物や塩漬け物が出回っています。塩漬け物はキムチ料理に使用されることが多いため、韓国からの輸入品が多くなっています。

参考文献

水産総合研究センター・瀬戸内海区水産研究所HP内
アキアミ/Acetes japonicus Kishinouyeの生態学的研究並びにその繁殖保護に就いて 安田治三郎・高森茂樹・仁科重巳（PDF）
ITIS Standard Report Page : Acetes（英語）
三宅貞祥『原色日本大型甲殻類図鑑』I 保育社 ISBN 4-586-30062-0

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