中継電話

中継電話とは

中継電話とは、固定電話や携帯電話の通話において、発信者と着信者の間に複数の電話会社の回線を中継して利用する電気通信サービスです。一般の加入電話回線とは異なる回線を利用することで、通話料金が割安になる場合があります。

加入電話における中継電話

NTT東西の加入電話を利用する際、市内通話や県内通話は通常、NTT東西の回線を使用しますが、県外通話の場合、NTTコミュニケーションズ以外の通信事業者が提供する回線（中継回線）を利用できます。中継電話を利用した場合、通話料金はNTT東西ではなく、中継電話会社から別途請求されることが一般的です。

加入電話以外の中継電話

固定電話の場合、NTT東西の加入電話以外にも、各社の直収電話、CATV電話、光電話、050IP電話など、さまざまな種類の回線が存在します。これらの回線は、NTT東西の回線と相互接続する必要がないため、他社の中継回線を利用する理由はほとんどありません。そのため、これらの回線では、相互接続方式の中継電話は利用できないことが殆どです。

携帯電話における中継電話

携帯電話やPHSの中継電話は、以前はアクセスポイント方式で提供されていましたが、現在では電気通信事業者選択番号（プレフィックス番号）を付与することで、より安価な通話料で利用できるサービスが主流となっています。このサービスは、スマートフォンなどで利用できる050番号のインターネット電話とは異なり、回線交換方式で提供されます。

中継電話サービスを提供する主な事業者

G-Call
楽天でんわ (IIJ、DMMなど他社の類似サービスも請け負う)
ブラステル

これらのサービスは、携帯電話の料金プランによっては無料通話となる場合でも有料となる点に注意が必要です。MVNOの通話サービスでは、完全従量制や通話定額サービスが主流であるため、通話時間によっては中継電話サービスの方が料金的に有利になる場合があります。

中継電話の接続方式

中継電話の接続方式には、主に以下の2つの方式があります。

相互接続方式

NTT東西の加入電話から発信し、他の加入電話や携帯電話に着信する際に、新電電などの中継電話回線を利用する方式です。

優先接続制（マイライン）: 事前に利用する電話会社を登録することで、事業者識別番号をダイヤルせずに利用できます。しかし、優先接続制が適用されない場合や、NTT東西が地域会社である場合、NTTコミュニケーションズの回線が利用されます。
選択中継制: 携帯電話宛への発信の場合、事業者識別番号を電話番号の前に付けてダイヤルする必要があります。

アクセスポイント方式

固定電話や公衆電話から専用のアクセスポイントに電話をかけ、IVRで認証を行った後、相手先の電話番号をダイヤルすることで中継電話を利用する方式です。この方式は、加入電話の中継電話とは異なる独自の料金設定がされており、市外電話や国際電話専用のサービスが中心です。現在では、ほとんどのサービスが終了しています。

アクセスポイント方式の主なサービス例

クレジット通話（中継電話料金と合算請求）
クレジットカード通話（クレジットカード決済）
プリペイドカード型
* VoIPを活用した廉価型

中継電話の歴史

1980年代

1987年に新電電会社が市外通話サービスを開始したのが、中継電話の始まりです。国際電話においても、中継回線が利用されていたため、中継電話の一種とされていました。当時は、中継電話を利用するためには、各新電電会社と契約を結ぶ必要がありました。

1990年代

1994年からは、中継電話会社が料金を決定する方式に変更され、接続点の概念がなくなりました。1998年には、NTT加入者でも事前契約なしに新電電のサービスを利用できるようになり、通話料はNTTの料金と合算して請求されるようになりました。

2000年代

2001年には、優先接続登録サービス「マイライン」が開始され、NTTグループと新電電の間で、マイラインの獲得競争が激化しました。2002年には、ソフトバンクBBがVoIPを用いた「BBフォン」を開始し、価格競争が激化しました。2004年には、携帯電話への発信も中継電話サービスの対象となり、固定電話側が料金を設定できるようになりました。また、番号ポータビリティやブロードバンドインターネット接続とIP電話の組み合わせが普及しました。

2010年代

2015年からは、NTT東西の光回線サービスの卸売が開始され、加入電話の契約数は固定電話の過半数を割るようになりました。

IP網への移行

現在、電話網はIP網への移行が進められており、これに伴いマイラインは廃止される予定です。今後は、全国一律料金の通話区分なしの「メタルIP電話の通話サービス卸」に順次移行される予定です。

まとめ

中継電話は、通話料金を安く抑えることができる場合がある便利なサービスです。しかし、料金体系が複雑であったり、事業者識別番号をダイヤルする必要があるなど、利用する上で注意すべき点もあります。通話料金を比較検討し、自身の通話状況に合ったサービスを選択することが重要です。

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